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子宮頸がんをなくすために(中)接種・検診 進まぬ歯がゆさ

2019年11月12日 02時00分 (5月27日 04時35分更新)
 名古屋市中村区のライブバー。開店前、経営者の吉川泰永さん(57)が奏でるサックスの音が静かに響く。昨年大ヒットした米津玄師(よねづけんし)の「Lemon」。長女からリクエストされた曲だ。サックスを始めて、まだ数年。吹けるまで懸命に練習した。
 しかし、娘はもういない。七月、子宮頸(けい)がんで亡くなった。三十歳だった。

長女をしのんで米津玄師の「Lemon」をサックスで奏でる吉川泰永さん=名古屋市中村区で

 二〇一七年の暮れ、お尻に痛みを感じたのが最初だったという。年が明けた昨年一月、一人暮らしの自宅から救急搬送された時にはリンパ節に転移していた。抗がん剤と放射線の治療を受けたが、わずか一カ月で再発。子宮の一部を摘出し、人工肛門になった。それでも、がん細胞は取り切れなかった。好きだった「Lemon」をせがんだのは、そんなころだ。
 長女は三人きょうだいの末っ子。彼女がまだ幼いころに吉川さんは離婚、子どもたちと離れた。やりとりを再開したのは四年前だ。フェイスブックで吉川さんを見つけた長女が突然、「パパ?」と連絡してきた。
 助けたい一心で、治療費を賄った。「パパ、ありがとう」の言葉がうれしかった。体調は急激に悪化。脚がしびれ、寝たきりになった。最期の日々をともに暮らした兄(31)...

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