斎藤幸平 経済思想家
2021年2月19日 16時00分 (2月19日 16時00分更新)
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コミュニズムが人命と環境守る
新型コロナウイルスの流行は、国内外で多くの命を奪っている。それなのに、感染を押さえ込む対策は空回りしているかに見える。「背景には地球規模で発達した資本主義の矛盾がある。脱成長コミュニズム(共産主義)への転換を」。こう訴えるのは、大阪市立大准教授で経済思想家の斎藤幸平さん(34)だ。人間が隣人や自然環境から一方的に奪うのではなく、調和する未来を思い描く。 (林啓太)
-コロナ禍で、資本主義の矛盾が明らかになってきた、と主張しています。
資本主義は利潤、つまり「もうけ」を無限に求めるシステムです。例えばワクチン。製薬会社は、利潤のためにワクチンを高く売り出す。貧しい国の人々は買えません。地球規模で感染拡大を防がなくてはならないのに、もうけが第一の発想では、最も必要な所にワクチンを届けられません。
昨春は日本でもマスクや消毒液が不足し、価格が高騰しました。以前から備蓄の必要性は指摘されていましたが、企業は在庫を抱えたくない。資本主義経済で作られる「商品」は、必要性より、売れやすさが重視されてしまうからです。
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