スズキが自社農場でイチゴの「立体栽培」

2021年2月19日 05時00分 (2月19日 05時02分更新)
スズキが自社農場で取り組むイチゴの立体栽培。同じ面積で従来の方法の2倍以上の収量が期待できる=磐田市で

スズキが自社農場で取り組むイチゴの立体栽培。同じ面積で従来の方法の2倍以上の収量が期待できる=磐田市で

  • スズキが自社農場で取り組むイチゴの立体栽培。同じ面積で従来の方法の2倍以上の収量が期待できる=磐田市で
  • 立体栽培で使用するプランター。左側の穴に入っているのが専用ポット
 スズキが、磐田市竜洋地区の二輪テストコースに隣接する自社農場で、昨年秋からイチゴの「立体栽培」に取り組んでいる。積み上げ可能な特殊なプランターを使用し、同じ面積で従来の二倍以上の株を栽培できるといい、関係者は「この栽培方法が広がれば農家の収益向上につながる」と期待する。 (鈴木啓紀)
 農場ではビニールハウス二棟(計約四千平方メートル)でイチゴ「紅ほっぺ」を計二万四千株栽培。年間約三十トンを出荷し、市場やJAとぴあ浜松のファーマーズマーケットに卸すほか、従業員向けに販売している。
 世話や収穫の作業を効率化するため、スタンドを使って地面から約一・一メートルの高さに栽培床(幅約二十二センチ)を置く「高設栽培」を実施。今季は苗が余ったこともあり、他に植えられる場所がないか模索していたところ、元スズキ社員で壁面緑化事業を手掛けるマラナタ(浜松市西区)の呉徳尚さん(31)から、同社が開発したプランターの売り込みを受けた。
 側面の穴に専用のポット(鉢)を差し込む構造で、複数を積み重ねられる。幅約二十七センチ、高さと奥行きが各約十四センチの標準的な二穴のプランターを三個重ねると、従来は栽培床一メートル当たり十株しか植えられなかった苗を、二十二株植えられるようになる。
 農場長の鈴木厚司さん(61)はスズキで主に製造畑を歩み、インドのグルガオン工場長や牧之原市の相良工場長などを歴任。徹底的なコストダウンを信条とする同社のものづくりに比べ、農業は「無駄が多いと感じていた」といい、この「立体栽培」は悩みを解決するうってつけの方法だった。
 今季は六百株を試験的に栽培。生育状況は良好で、既に出荷が進んでいる。来季は四倍の二千四百株に増やし、高設栽培分と合わせて今季より10%増の収量を目指す。その後も苗を確保できた量に応じて立体栽培を増やすつもりだ。
 農場を管理するスズキ・サポートは、障害者雇用促進法に基づく特例子会社の認定を受けており、現在四人の障害者が農作業に従事している。岡部孝利社長(65)は「収量が増えれば作業するメンバーのやりがいにもつながる」と期待する。
 スズキは竜洋地区の二輪開発拠点内に二〇一五年、竜洋農場を開設して農業事業に参入。遊休地約三万平方メートルでイチゴのほかキャベツやレタスなどを栽培する。開発拠点の大部分は一八年に完成した浜松工場(浜松市北区)内に移管した。

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