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五輪に出たい焦りから見失いかけた自分…「褒めてあげる」ことで滑る楽しさ取り戻し1年後の夢舞台へ【ショートトラック】

2021年2月17日 12時57分

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冬季国体ショートトラック成年女子500メートル決勝で2位となった平井亜実=1月31日撮影

冬季国体ショートトラック成年女子500メートル決勝で2位となった平井亜実=1月31日撮影

 スピードスケート・ショートトラックの平井亜実(23)=トヨタ自動車=は社会人1年目の今季、五輪初出場を目指す焦りから周りのライバルしか目に入らず、自分を見失いかけていた。トレーナーの助言をきっかけに、思考対象のベクトルを他人でなく自分自身に向けてから自信を取り戻し、2022年北京五輪に向けて前向きな気持ちで歩み始めた。
 平井がコロナ禍にあらためて思ったのは、楽しんで滑る大切さだった。
 今季は国内外の試合がなくなる一方で、全日本チームの強化合宿が増えた。「全日本の有力選手と練習していると自分との差がはっきり見えてしまって…。練習でもついていけない時はつらくて、自信をなくした」
 ようやく迎えた今季の初戦は昨年10月の全日本距離別選手権。それから先月31日閉幕の愛知冬季国体まで試合はない。今の力は練習でしか推し量れなかった。「あの頃は比較対象が自分でなく、周りの選手。オリンピックに出たい焦りから、人と比べることしかできなくなっていた」。自分を見失い、みるみると調子を落としていった。
 立ち直るきっかけは、トレーナーが与えてくれた。体の手入れをしてもらう間、じっくり話を聞いてくれるトレーナーの助言が心の奥に響いた。
 「周りと比べて評価するんじゃなく、自分で自分を評価してあげたら」
 はっと気づかされた。五輪に出ること、人に勝つことが滑る目的となっていた。そうじゃない。もっと自分を信じ、自分を見つめよう。「日々の練習で、自分を褒めてあげるようにした」。すると自身の強みを再確認し、氷上に楽しみが生まれた。
 その心境は競技を始めた小学2年のころと似ている。「私は楽しみながら上を目指すことが好き」。当時、習い事として新体操教室にも通っていた。どちらを続けるか。選択を迫られた時、そう思った。小学時代はテニスや水泳にもいそしみ、中学はバスケットボール部に入った。スケートを辞めずに続けているのは、つらいときでも楽しさを味わえるからだ。
 「相手との駆け引き、戦略が成功して勝てたときの喜びは大きい」。タイムを争うスピードスケートと異なり、ショートトラックは先着を競う。感覚を研ぎ澄まし、勝負を決する瞬間の見極めが妙味だ。
 代表入りした3月の世界選手権は日本チームの派遣が見送られた。残念な思いは強いが、コロナ禍で培った考え方ですぐに気持ちを切り替える。「やるべきことをやるだけ」。トップスピードは世界と互角に戦える。課題は最速までの加速時間とその速さを維持する技術だ。五輪まであと1年。楽しむ気持ち、自分を信じる力で夢切符を手に入れる。
▼平井亜実(ひらい・あみ) 1997(平成9)年8月2日生まれ、愛知県一宮市出身の23歳。164センチ。地元のクラブで競技を始める。高校1年から4年連続で世界ジュニア選手権出場。2018年12月のW杯第3戦(カザフスタン)1000メートルで7位が国際大会の個人最高位。19年全日本距離別選手権1500メートルで優勝、19―20年全日本選手権総合3位。好物の手羽先は「風来坊」派。学生時代は冷蔵庫に「つけてみそ かけてみそ」を常備。
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