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バンコク 王室へ無言の抗議か

2021年2月16日 16時00分 (2月16日 16時00分更新)
 映画の予告編に続き、館内に厳かで、優雅な調べが流れ始めた。タイの「国王賛歌」。ワチラロンコン現国王の歩みを紹介する二分ほどの映像が、スクリーンに映し出される。作品の観賞はもちろんだが、バンコクで映画館に初めて足を運んだのは、この「決まりごと」が目当ての一つだった。
 「立ち上がり、国王に敬意を払ってください」。映像冒頭に現れるメッセージを待たずとも、ほんの一年前まではそれが当然の光景だったという。座ったままの人がいたら、ほかの来館者がとがめたり、法律違反に問われる恐れもあった。
 じっくり見回したところ、立ち上がったのは一割ほど。昨年、政府や王室への抗議活動の盛り上がりに合わせ、若者を中心に王室への敬意は急落した。これも、「無言の抗議」の一つなのか。
 表立ったデモは新型コロナウイルス対策の行動制限もあり、年末から鳴りをひそめている。ただ、後戻りできない変化が起きていることは確かなのだろう。昨年は鬱積(うっせき)した不満が噴き出すように、行動制限の解除前後からデモが急拡大しただけに、目が離せない。 (岩崎健太朗)

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