本文へ移動

目立つ森前会長の往生際の悪さ…決断は何事も清く潔く【山崎照朝コラム】

2021年2月16日 11時32分

このエントリーをはてなブックマークに追加
辞任した森喜朗前五輪組織委会長

辞任した森喜朗前五輪組織委会長

 新型コロナウイルス感染拡大もようやく沈静化の兆しが見えてきた。東京五輪・パラリンピック組織委員会の一部の理事からは3月上旬までに開催可否の判断を求める意見も出て“いよいよ”という感じだ。
 一方で同委員会の森善朗前会長の女性蔑視発言が尾を引いている。森前会長が「辞任する考えはない」と公言し、撤回と謝罪ではおさまらず辞任を求める騒動になった。権力を持つと、どうも引き際の判断が鈍るようだ。米国でもジョー・バイデン大統領に敗れたドナルド・トランプ前大統領の職への執着心が混乱に拍車を掛けた。
 森前会長は“武士道の国”の首相を務めた人。最近の言動を見ていると、権力に執着するめめしさや院政を敷こうとする意図が透けて見え、武人らしさが感じられない。東京五輪招致に深く関わってきただけに察する部分はあるが“往生際”の悪さは誇りに傷をつける。「後悔先に立たず」で、ここは清く、潔く―であってほしかった。
 さて、会長の後任人事にも注目したいが、ここにきて肝心の東京五輪に対する国民の感心が薄れているのが気になる。一部のメディア調査では日本国民の8割が東京五輪に反対しているそうだ。不参加に動きそうな国もあり、中止や再延期の声も出ている。これについて組織委員会は「現実的ではない」とし、橋本聖子五輪相も「この夏の開催に全力を尽くす」と再延期を否定的にとらえている。
 過去、1980年のモスクワ五輪ボイコットの際は賛否両論で揺れ、最終的にアスリートに負担を強いる形となった。今回、新型コロナウイルスという未曽有の事態。当時と事情は違うが、今や開催するかどうかが最大の関心事。無観客開催の声もあるが、国民との温度差は広がっているような気がする。
 五輪まで約5カ月。決断の先延ばしが、最高のパフォーマンスを目指す選手を不安に追い詰めないか。そこが気になる。(格闘技評論家)

関連キーワード

PR情報

購読試読のご案内

プロ野球はもとより、メジャーリーグ、サッカー、格闘技のほかF1をはじめとするモータースポーツ情報がとくに充実。
芸能情報や社会面ニュースにも定評あり。

中スポ
東京中日スポーツ