<EYES> フォトジャーナリスト 安田菜津紀さん 居場所のない命

2020年4月9日 02時00分 (5月27日 03時52分更新)

シリア国内の避難民キャンプに暮らすメイサさん(12歳)と妹のアシナーンちゃん(2カ月)=2019年12月

 世界中で新型コロナウイルスの感染が拡大し、不安が広がっています。難民として他国へと逃れようとしている人々にとって、ますます厳しい状況となってしまいました。各国がウイルスのまん延を防ぐため、国境を閉ざしてしまっているからです。
 2011年から戦争が続いているシリアでは、この9年間で犠牲になった人々は38万人。生き延びた人々が逃れた周辺国で、難民として生まれた子どもたちは100万人にのぼるとされています。「この世界に、私たちの居場所なんてどこにもない」と、シリアにとどまる友人はぽつりと語りました。しれつな状況は今なお、続いています。
 確かにウイルス対策を考えれば、人々が移動しないことで守れる命があるのでしょう。けれども紛争や迫害の場合は、その場から移動しなければ守れない命があります。だからこそ各国には、検疫などを通して継続的な対応が求められてきます。
 時折、難民問題が語られる時、その受け入れが「負担の分担」と表現されることがあります。けれども世界がこうした戦争や迫害を止められない以上、これは「負担の分担」ではなく、「責任の分担」です。その責任は、これまで難民にほぼ門戸を閉ざしてきた、日本にも問われているはずです。
 <やすだ・なつき> 1987年神奈川県生まれ。NPO法人Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル)所属フォトジャーナリスト。同団体の副代表。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-』(日本写真企画)他。上智大学卒。TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。

◆NPO法人Dialogue for Peopleのサイトはこちらから。

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