<EYES> 教育哲学者 苫野一徳さん 教師に「希望」届けたい

2020年2月27日 02時00分 (5月27日 03時52分更新)
 「教師の多忙」は、今や多くの人が知るところだ。小学校では3割、中学校では6割の教師が、過労死ラインを越えて働いていると言われている。
 こうした現状を見て、今、多くの教育学部の学生たちもまた、教職への道を断念したり再考したりし始めている。優秀な若者たちが教職を忌避するようになれば、教育の質の低下は避けられない。
 一方で、自治体や学校による「働き方改革」が進められていることも、多くの方に知ってもらいたい。不必要な業務を削減した上での定時退勤の実現、再任用教員を活用したマンパワーの充実、情報通信技術(ICT)を活用した業務の効率化、学校閉庁日の設定、勤務時間外の留守番電話対応など、教師の働き方の改善は確かに、少しずつ進んでいる。
 深刻な問題があることは分かった。世間も広く認識した。ならば次は、それを全力で解決する番である。私たち教育関係者は、今後、全国で広がる働き方改革やその知恵を、社会に広く伝えていく必要がある。そうすることで、学校現場や教師を目指す若者たちに、「希望」を届ける必要がある。
 毎月、多くの学校現場を回り、何百人もの先生と対話を続けているが、疲弊し切った学校に共通して見られるのは、教師が日々の学校生活や仕事に「希望」を見いだせていないことであるように感じている。いかにこの苦境を「やり過ごす」か。そんなマインドが充満している。
 問題ばかり見ていれば、げんなりするのは当然のことだ。だからこそ、これから重要になるのは解決のためのビジョンと方法だ。こうすれば、学校はもっと、子どもたちにも先生たちにも幸せな場所になる。そんなワクワクする学校の姿をこそ、今後はより積極的に論じ合っていきたい。

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