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実体伴わない成長 製薬の責務置き去り

2021年2月12日 05時00分 (2月12日 09時45分更新)

ジェネリック医薬品の製造過程などが公開された見学会。現場では適切な医薬品の製造・品質管理が果たされていなかった=2014年8月6日、あわら市の小林化工で


 後発医薬品(ジェネリック医薬品)の普及、拡大とともに成長してきた小林化工。設備を増強し、従業員も増やし、売上高はここ十年で二倍以上に伸ばしてきた。だが、睡眠導入剤成分の混入事故をきっかけに、法令に基づいた医薬品の製造・品質管理が果たせていない実体が明らかになった。目を見張る急成長の一方で、製薬会社としての責務が置き去りにされていた。
 ジェネリックは、新薬の特許期間が過ぎた後、新薬と同じ成分で作る薬。新薬より安価なため、医療費の抑制につながるとして国などは普及を進めている。数量シェアは二〇二〇年九月時点で78・3%を占める。
 こうした市場ニーズに応えるべく、同社は規模を拡大した。設備面では、一一年に清間第一工場、一三年に総合物流センター、一四年に製剤技術総合研究所、一六年に清間第二工場をそれぞれ新たに設けた。一四年度に約四百人だった従業員は、二〇年度には約八百人に増員。営業面でも北海道から九州・沖縄エリアまでカバーする体制に強化した。
 これらが奏功し、売上高は一一年三月期の約百五十三億五千万円から、二〇年三月期には約三百六十九億九千万円と増やし、十年で二・四倍と飛躍的に伸ばした。
 同社は後発薬の使用促進につなげようと積極的に見学会を実施した。一四年八月に清間第一工場で開かれた見学会では、飲みやすさや医療現場での扱いやすさを向上させた「高付加価値医療用医薬品」の研究開発と製造販売を手掛けていると説明。参加者からは高い評価と信頼を寄せる声が上がった。
 だがそれはうわべだけの見せかけに過ぎなかった。製造責任者の間では「現場フロー」と呼ばれる違法な手順の解説書「裏マニュアル」が存在。安定供給の名のもとに法令違反を重ねていた。
 九日の会見で小林広幸社長は「日々の業務に追われて十分な社員教育を行わず現場優先だった。場当たり的な対応が常態化していた」と説明した。適切な医薬品の製造・品質管理は果たしていなかった。
 北陸大薬学部長の村田慶史教授は「製品一つ一つに目が行き届かず、コントロールできなかったのでないか。単なる商品として扱っている印象」と苦言を呈し「もう一度、出直す形で業務停止の百十六日を過ごし、立て直してもらいたい」と猛省を促す。

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