<EYES> フォトジャーナリスト 安田菜津紀さん 故郷の味守りたい

2020年5月21日 02時00分 (5月27日 03時52分更新)

お店の近くの自宅で、ネパールカレーや炒め物をふるまってくれたケーシーさん=2019年8月

 これまで、日本に逃れてきた難民の方々の「故郷の味」を通して、そこに込められた思い出など、その記憶をたどる取材を続けてきました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、飲食店を経営する方々は皆、経営に苦しんでいます。命の危険から日本に逃れ、慣れない異国でやっとの思いで持ったお店が危機にさらされるのは、もどかしい思いです。
 ケーシー・ディパックさんは、ネパールの王族を支える一族に生まれました。国王による政治に反対する「毛沢東派」から拷問を受け、2007年に日本に逃れてきました。野宿をしたり、痛む足を引きずりながら7時間歩いて入国管理局まで通ったり、過酷な日々を経て、15年にネパール人で初めて難民として認定されました。
 現在はスパイスの輸入業を手がけ、妻のムナさんが店長を務める「ポカラ FC豊川八幡店」(愛知県豊川市)も支えています。カレーはもちろん、ケーシーさんたちの優しい人柄が表れているかのようなまろやかなラッシーの味が忘れられません。
 地域の多様なお店を私たちの手で支えていくことはもちろん、公的支援がしっかり届くよう声をあげたいと思います。
 <やすだ・なつき> 1987年神奈川県生まれ。NPO法人Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル)所属フォトジャーナリスト。同団体の副代表。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-』(日本写真企画)他。上智大学卒。TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。

◆NPO法人Dialogue for Peopleのサイトはこちらから。

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