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空気感染ないのに「換気を」なぜ?

2020年3月10日 02時00分 (5月27日 04時34分更新)
 新型コロナウイルスの感染対策で、手洗いなどに加え、厚生労働省や専門家らが「換気」の重要性を指摘し始めた。屋形船やライブハウスなどで感染が広がった事例の分析から、閉鎖空間ではごく短時間、ウイルスが空気中に浮遊する可能性があるためだ。
 新型ウイルスはインフルエンザなどと同様、せきやくしゃみのしぶきに含まれたウイルスが直接口などに入る飛沫(ひまつ)感染、飛び散ったウイルスが手などを介して体内に入る接触感染が起きるとされてきた。
 ところが二日の政府専門家会議の記者会見で、委員の一人の押谷仁・東北大教授が「二つだけでは説明できない事例が出てきている」と言及。ウイルスが空気中に長時間漂う空気感染は否定しつつも「近距離でせきやくしゃみをする人がいなくても感染が起きている可能性がある」と述べた。
 日本感染症学会なども同様の見解で、二月末にホームページで公開した資料には飛沫感染と空気感染の「中間」のようなケースをイラストで例示。会話などで出たつばがウイルスを含んで飛んでいる可能性を示唆し、その場合、飛沫よりも水分が少なく小さいため通常のマスクで防げないことも説明している。

◆「降車のたびに」タクシーも強化

 地下鉄やバス、タクシーといった交通機関で、車内の空気を入れ替える「換気」対策を強化する動きが広がっている。
 名古屋地区で約九百台走らせる大手の名鉄タクシーホールディングス(名古屋市中川区)は、乗客を降ろすたびに窓を開けるなどして車内の換気をするよう運転手に指示している。担当者は「これまでも乗客から求めがあった場合には乗車中に窓を開けたりして対応していたが、降車後に一律に換気することにした」と説明した。名古屋近鉄タクシー(同市中区)も二月中旬から、乗客降車後の車内換気を運転手に求めている。
 一方、名古屋市交通局は、市営地下鉄と市バスの全車両を対象に常時換気扇を回して運行している。担当者は市内で感染者が増え続けていることから「感染防止に向け、やれる対策はすべてやっていこうと判断した」と話した。

◆手洗い同様徹底 2カ所定期的に

 愛知県立大看護学部の清水宣明教授(感染制御学)は「屋内でできる対策はとにかく換気だ」と強調する。仮にウイルスが空気中を漂うとしても、その「濃度」を下げる分だけ感染リスクは減るとして「手洗いと同じくらいに徹底した習慣づけを」と訴える。
 空気の流れをつくることが重要なため、可能なら窓を一カ所だけではなく、対角線上にある二カ所を定期的に開けると効果的だという。清水教授は「病院や学校などでは今までも意識して換気をしていたと思うが、それは感染対策の意味もある。家庭や職場でも『よどみ』を感じる前に空気を入れ替えるように心掛けてほしい」と話す。
 職場によっては窓がなかったり、高層階などで開かなかったりすることも。その場合、換気扇や空調で代替が可能だが「点検を長年していないと適切に稼働していない可能性もある。故障や不具合が起きていないか確認を」と呼び掛ける。
 (安藤孝憲、西川聡史)

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