2月末日は「世界希少・難治性疾患の日」   難病への理解 早期発見促す 

2021年2月9日 05時00分 (2月9日 10時28分更新)
 毎年二月末日(今年は二十八日)は「Rare(レア) Disease(ディジーズ) Day(デー)」(世界希少・難治性疾患の日=RDD)。患者数が極端に少ないことから、病名や症状が医師にさえ十分に知られていない病気も少なくない。患者の中には仮病扱いされたり、仕事との両立に悩んだりしている人も。実際に難病と闘っている患者や医師は「周囲の理解が不可欠」と訴える。 (細川暁子)

誤診、仮病扱い「現状知って」


ファブリー病を患う男子生徒(手前)。月に1〜2回通院し、点滴治療を受ける=名古屋市中村区の名古屋セントラル病院で


 愛知県内の高校三年の男子生徒(18)は生後六カ月の時、国の指定難病で、遺伝性のライソゾーム病の一種、ファブリー病と診断された。ライソゾーム病は、遺伝子変異で特定の酵素がなかったり、働きが悪かったりして体内に老廃物がたまる病気。欠けている酵素の種類によって約六十の疾患があり、母親も、亡くなった祖母もファブリー病だった。
 生徒は、分解されなかった糖脂質が汗腺にたまり、汗がかけない。体育の授業後に体温が四〇度まで上がったときも。熱が高くなると、足に針で刺すような鋭い痛みも出た。今は月に一〜二回通院し、欠けている酵素を補って症状を和らげる点滴治療を受けているほか、教師にも伝え、体調に異変を感じたら体育の授業は休むようにしている。
 生徒と母親が通う名古屋セントラル病院ライソゾーム病センター長の坪井一哉医師(55)によると、ファブリー病の患者は全国で千人ほどだ。糖脂質が神経節に蓄積されると手足の指が痛くなったり、目の角膜がくもったりといった症状に加え、心肥大や腎不全になることも。血管が狭まって心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすリスクもある。
 しかし、「希少疾患のため、医師でも存在を知らない人がいて見過ごされやすい」という。正しい診断に至らない場合も多く、リウマチや膠原(こうげん)病などと誤診されたり、仮病扱いをされた結果、子どもが不登校になったりする場合もある。
 生徒は「親しい友達は病気を理解し、いろいろと気を使ってくれる」と言う。「周囲の理解が不可欠」と力を込め、「そのためには病気について広く知ってもらいたい」と願う。坪井さんは、治療のためには早期発見が大切と強調。ライソゾーム病に限らず「原因不明の症状で悩んでいる子がいたら、学校などでも受診を促すなどの配慮をお願いしたい」と呼び掛ける。

333疾患に医療費助成 本紙三浦記者の動画配信

 ファブリー病を含む難病対策は二〇一四年まで、国が研究事業名目で医療費を助成してきた。しかし、一五年の「難病法」施行で、医療費助成の対象が一気に拡大。それまでの五十六疾患から、現在は客観的な診断基準が確立している三百三十三疾患まで増えている。症状が一定程度以上と認められると、所得に応じて自己負担額は最大でも月三万円に。一方で、治療と勉強、仕事との両立など患者が抱える悩みは根深い。
 難病に対する理解を深めてもらうことを目指すRDDには毎年、患者団体が各地でイベントを開催。その一つ、NPO法人「岐阜県難病団体連絡協議会」は二十八日午後一時半から、難病のパーキンソン病患者で本紙生活部の三浦耕喜記者(50)のインタビュー動画をオンラインで配信する。
 「職場ではありのままの姿を見てもらい、調子が悪いときは横たわって仕事をしている」と三浦記者。「患者や家族の葛藤を知り、応援してもらえるきっかけになれば」と視聴を呼び掛けている。申し込みなど問い合わせは同協議会=電058(273)3310=へ。

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