武漢の邦人、第1陣帰国 4人に発熱、せきの症状

2020年1月29日 16時00分 (5月27日 04時34分更新)

羽田空港に到着したチャーター機=29日午前8時51分

 中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎を受け、現地に滞在する邦人二百六人を乗せた日本政府の全日空チャーター機が二十九日午前、武漢から羽田空港に到着した。退避第一陣。東京都によると、四人に発熱やせきの症状があり、大田区の荏原病院で受け入れた。
 安倍晋三首相は参院予算委員会で「しっかりと拡大防止に向けて全力を尽くす」と述べた。三十日に政府対策本部を設置すると表明した。
 日本外務省によると、政府が感染症のまん延を受けチャーター機を派遣したのは初めて。菅義偉官房長官は記者会見で、チャーター機での帰国希望者は現時点で残り四百四十人だと明らかにした。政府は、第二陣を二十九日午後八時ごろ、第三陣を三十日に日本から派遣する方向で調整。第三陣までに全員が帰国できるよう第一陣より大きな飛行機の利用も検討している。
 二百六人は全員が日本国籍。武漢の日本商工会役員の男性二人が空港内で取材に応じ「帰国できて、ほっとしている」などと語った。
 二十九日に帰国した便には医師一人、看護師二人を含む医療チームを同乗させ、機内で問診票を配り、全員の体温を測定。武漢では、支援物資のマスク約一万五千個や防護眼鏡八千個、手袋などを中国側に渡した。
 発熱などの症状がある四人は、三十代と四十代の男性各一人と五十代の男女。症状のない人も国立国際医療研究センター(東京都新宿区)にバスで送り、全員を検査する。陰性の場合でも二週間は外出を極力控えるよう強く求める。全日空によると、武漢から到着したチャーター機内部の消毒作業をした。

◆男性2人が会見

中国・武漢からチャーター機で帰国した青山健郎さん(中央)と加藤孝之さん=29日午前9時42分、羽田空港で(谷沢昇司撮影)

 チャーター機の到着から約一時間後の午前九時四十分すぎ、国内線ターミナルの別棟で、いずれも武漢日本商工会役員の青山健郎さん=日本製鉄現地法人社員=と加藤孝之さん=インテック現地法人社員=がマスク姿で現地や機内の様子を話した。
 「急速に事態が悪化し、とても不安だった。帰国できて、ほっとしている」と青山さん。加藤さんも「政府の迅速な対応に感謝している」。疲れをにじませながらも、はっきりとした口調だった。
 二人ともウイルス感染の中心地と疑われる武漢市の海鮮市場の近くに住んでいた。加藤さんは「二十三日に交通がストップしてから生活は一変した」。外出を控え、自宅で過ごしていたという。数日前に大使館から退避希望の有無を確かめるメールが届き、帰国を望んだ。
 機内の様子について、加藤さんは「皆さん冷静で、静かだった」。医師が一人ずつ巡回して問診し、異常がないか確認したという。青山さんは「席に着くと安心して、どっと疲れが出てすぐに寝てしまった」と笑顔を見せた。
 武漢市ではチャーター機での帰国希望者はまだ四百四十人残っている。また、市民に生活物資を提供するため、現地にとどまる日系企業社員らもいる。青山さんは「帰国支援も大切だが、残った人たちのために中国へ物資を送るなどの支援に力を入れてほしい」と望んだ。
 (小野沢健太)

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