【石川】他者と違うって面白い 難病アルビノ 20歳の写真アート
2021年2月7日 05時00分 (2月7日 10時56分更新)
羽咋の中山直哉さん
「2万分の1 引き当てられるやついるの?」
生まれつき体に色素がない「アルビノ(眼皮膚白皮症)」の中山直哉さん(20)=石川県羽咋市新保町=が、自身を題材にして病気の特徴をユーモアたっぷりに伝える写真アート作品を制作した。障害のある人に「他者との違いをプラスに捉えてもらいたい」との願いをこめた。作品は、金沢市大和町の市民芸術村で7日まで展示されている。(戎野文菜)
透き通るような白い肌に、光を受けて輝く金色の髪。アルビノの特徴を捉えた写真には、病気を伝える言葉を添えている。
「二万分の一を引き当てられるやつとかいるの?俺はできたけどね」。紙吹雪の向こうで天を仰ぐ写真にそうつづった。同じ病気になったごく少数の人を「不運ではなく幸運」と捉える思いを織り込んだ。
青空の下で目を閉じる写真には「世界がまぶし過ぎて直視できねえよ」とひと言。光をまぶしく感じる症状ゆえの言葉だが、「ポジティブに聞こえるでしょ」と冗談交じりに笑う。
写真は全部で十枚。縦一・三メートル、横一メートルまでサイズはさまざま。一枚には自己紹介と症状の特徴を書いた。「視力悪い、紫外線に対する防御がクソゴミなので日焼けしちゃだめ、体がめっちゃ白い」。若者らしいストレートな言葉が連なる。
作品のタイトルは「白眉展」。多数のうち最も優れているという意味の「白眉」と、眉まで白いアルビノを重ねた。「アルビノだからと劣等感を持つ人もいる。作品を見て他者との違いをプラスに捉え、自分が優れていると思ってもらいたい」と話す。
前向きでいられるのは、幼い頃から病気を理解し、特別扱いしない友人に恵まれたからだという。周囲の人には「外見で判断しないでほしい。そうやって仲良くならないのは本人が損だから」と語り、自身を指して「こんな面白いやつなかなかいないですよ」と付け加えた。
作品は今春卒業する大原情報デザインアート専門学校金沢校の卒業制作展に合わせて制作した。現在は就職活動中。卒業後も機会があれば、作品を展示したいと意欲を示している。
【メモ】アルビノ(眼皮膚白皮症)=出生時より皮膚、毛髪、目の色が薄く、白色調になる遺伝病。黒色の色素メラニンの合成が減少、欠損するため起こる。視力障害や目の揺れ(眼振)を伴うことが多い。根治的な治療がない国の指定難病。正式名はアルビニズム。
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