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現代アートの貴重な記録にも「キュレーターズノート二〇〇七−二〇二〇」

2021年2月6日 05時00分 (2月6日 11時06分更新)

鷲田めるろさん出版 21美の元キュレーター

 元金沢21世紀美術館キュレーターで、現在は十和田市現代美術館(青森県)館長の鷲田めるろさんが「キュレーターズノート二〇〇七−二〇二〇」(美学出版)を出版した=写真。21美時代に自ら企画した展覧会に加え、金沢で建築やまちづくりと連動して実践したさまざまな活動、参画した国際芸術祭など、現場で現代アートの最前線に立ち会ってきた鷲田さんならではの貴重な記録になっている。
 鷲田さんは一九七三年京都市生まれ。東京大大学院修士課程修了。21美の建設準備室時から開館に関わり、一八年までキュレーターとして活動した。一七年にはベネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館で、一九年には「あいちトリエンナーレ」でキュレーターも務め、二〇年四月から現職。金沢美術工芸大客員教授でもある。十四年間にわたり、ウェブマガジン「artscape」に「学芸員レポート」「キュレーターズノート」として連載した文章をまとめた。
 21美で自身が企画するなどして関わった「金沢アートプラットホーム2008」「島袋道浩 能登」「3・11以後の建築」などの展覧会、学芸員の交流事業として滞在したベルギー・ゲント市からのリポート、建築と美術を横断する交流の場として建築家たちとともに自らも設立メンバーとして運営にかかわったCAAK(Center for Art&Architecture,Kanazawa)の活動や美術館内外でのワークショップ、金沢市内のギャラリーやアートスペースの展示などのレビューなどからは、現場で鷲田さんが、街や人との協働に関心を寄せてきたのが分かる。
 一方、ベネチア・ビエンナーレでの経験や、表現の自由を巡り社会問題にもなった「あいちトリエンナーレ2019」の総括は、現代アートシーンを振り返り、今後に生かす上でも重要だ。最後の「金沢から十和田へ」では、21美と共通する部分も少なくない十和田市現代美術館で新たなステージに踏み出す意欲も示されている。
 四六判、二百三十ページ。千八百円(税別)。(松岡等)

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