突然、最後の教室 東海の小中校、急きょ卒業式も

2020年2月29日 02時00分 (5月27日 04時33分更新)

臨時休校で最後のホームルームとなり、担任の教師に寄せ書きを手渡し涙ぐむ卒業生たち=28日午後3時28分、岐阜市の藍川東中で

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、多くの学校では週明けから休みになる。安倍晋三首相の休校要請を受けた突然の方針転換だ。三月の卒業式を期日通りに行う学校も、それまでは休み。学びやを巣立つ児童や生徒は、残り少なくなっていた貴重な日々を奪われることになった。二十八日、登校した児童、生徒は戸惑いを隠せない。「もっとみんなと過ごしたかった」。三月になっていないのに、子どもたちは涙を流した。
 黒板に張られた「卒業まであと14日」のカウントダウンの紙。愛知県長久手市の長久手小学校は三月十九日の卒業式を期日通りに行う予定だが、週明け以降は休みになった。二十八日、六年二組では、担任の鈴木佑理先生(27)が下校前の帰りの会で思い出を話し始めた。
 修学旅行でのおしゃべり、運動会の騎馬戦…。「笑いながら給食のおかずを取り合うような、そんなささいな日々をまだ過ごせると思っていたのに悲しいです」。そう話してハンカチで目を押さえると、教え子の加藤亜実さん(12)も「残りの十四日間、学校に来たかった」と涙を流した。
 岐阜市の藍川東中学校では三年生七十九人が机やいすに張った名札をはがした。三月六日の卒業式までに持ち帰る予定だった荷物を袋に詰め込んだ。
 卒業式の後に見る予定だったスライドショーがホームルームで流れると、修学旅行などで笑い合った級友との写真に涙が止まらなくなる生徒もいた。思いがけずに早まった中学生活の最後の時間。三島梨央佳(りおか)さん(15)は「こうなったことは、将来もずっと忘れないと思う」と話した。

前倒しで開かれた卒業式を終え、校門の前で記念撮影する大口中の生徒たち=28日午後4時34分、愛知県大口町で

 愛知県大口町の大口中学校は、三月三日に予定していた卒業式を前倒しして開いた。体育館で開かれた式には卒業生二百三十三人と教職員十五人、二年生の代表一人のみが出席し、岩田晃典校長は「このような式になって申し訳ない。健康と安全を考えました」。卒業証書は代表一人に渡して式の時間を短縮し、山田優凜(ゆり)さん(15)は「保護者や来賓、在校生のみんなに卒業を祝ってもらいたかった」と残念がった。
 名古屋市東区にある小学校には、六年生の保護者ら約四十人が下校時間に合わせて集まり、卒業式前の最後のランドセル姿をスマートフォンなどに収めた。
 前日夜に市が卒業式を取りやめる方針を表明したため、保護者が「これで最後では寂しい」とLINEで連絡を取り合い、集まった。二十八日には一転して卒業式が開かれることになったが、朝家を出る時はその方針がまだ決まっておらず、泣いていた子どももいたという。
 三重県松阪市の第三小学校は体育館で全校集会を開き、六年生が三月十八日の卒業式で下級生に歌うはずだった、いきものがかりの「YELL」を合唱した。下級生が式に参加できなくなったため。嶋田杏さん(12)は「友だちと残りの学校生活を楽しむための話をしていたのに、最後にこんな終わり方になるなんて…」と肩を落とした。

◆塾の対面授業 2週間自粛を

 全国学習塾協会は二十八日、新型コロナウイルスの感染拡大防止の指針として、およそ二週間は対面での授業をできる限り控えるよう、会員の学習塾に呼び掛けた。指針では他にも、大人数での授業の延期と振り替え、オンライン学習の実施などを検討するよう求めている。

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