さらば、ムーンライトながら 名物列車「大垣夜行」の後継、ひっそり引退
2021年2月4日 05時00分 (2月4日 11時10分更新)
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旧国鉄時代から親しまれた夜行列車が、半世紀余りの歴史を終えた。JR東海とJR東日本が一月二十二日、東京駅と大垣駅(岐阜県大垣市)を結ぶ臨時夜行快速列車「ムーンライトながら」の運行終了をひっそり発表したのだ。同じ区間を走った名物夜行列車「大垣夜行」の後を継いだムーンライトながらも、時代の波にあらがえなかった。帰省や貧乏旅行に使われ、時に感傷を誘う夜行列車を惜しむ声がやまない。 (中沢佳子)
「ついになくなるのか…」。大垣市の元職員田中重勝さん(71)が嘆息する。市役所に入って間もない二十代の頃、研修で東京に向かう際に大垣夜行に乗った。「朝六時前に東京に着く。一日が有効に使えると考えたんや。でもね、席がとにかく窮屈。体を横にしたくて新聞紙を持ち込んで床に寝そべったなあ。そんな苦労も振り返ると楽しいね」
それから数十年。市経済部長となった田中さんは、大垣夜行の後を継いだムーンライトながらが定期運行をやめるかもしれないと聞きつけた。市長とともにJR側に存続をかけ合った。「乗客は乗り換えで大垣に降りるだけ。観光する人は少ない。ただ、東京からの直通列車があることに意味があると思ったんや。首都圏の...
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