<#不登校> 悩める若者の就労支援(下)「合う職場」で自立目指す

2021年2月4日 05時00分 (2月4日 05時00分更新)
スタッフと話す男性(左)。就労後も定期的に面談している=名古屋市中区の市若者・企業リンクサポートで

スタッフと話す男性(左)。就労後も定期的に面談している=名古屋市中区の市若者・企業リンクサポートで

  • スタッフと話す男性(左)。就労後も定期的に面談している=名古屋市中区の市若者・企業リンクサポートで
 若者の就労支援を担う窓口「名古屋市若者・企業リンクサポート」(同市中区)。支援を受けて就労につながり、次の目標に向かって働いている不登校経験者2人に話を聞いた。 (北村希)

「漫画を仕事に」夢持てた 名古屋の池田和歌子さん(30)

 幼い頃から日本人特有の“察する”や“暗黙のルール”というのが苦手で、クラスでも浮いていたんだと思います。小六の時に周りに無視され、学校に行かなくなりました。中学入学後も周りの視線が気になり、別室登校になりました。
 中三の頃、良い家庭教師に出会えて勉強が楽しくなり、前向きに考えるように。他人の感情は別物で、どう思われても仕方がない、自我を強く持とうと思えるようになりました。
 通信制高校を卒業してから就活を試みましたが、なかなかうまくいかず、時間がもったいないと思いパートを転々としました。就活の面接は圧迫感があり上から目線で、もっと対等に見てほしかった。学歴とか資格は重視するけど、社風に合った人かどうかまでは見てくれていないと感じました。私の場合、就活で不登校経験には触れることもなく、関係なかったです。
 パートは接客や事務、部品組み立てなどを経験しましたが、上司からのあいまいな指示などが合わず、長続きしませんでした。そんな中、昨年二月、ポスターでリンクサポートを知り、訪ねました。
 スタッフさんと話したり、いろんな職場を見学したりする中で、細部まで理解していないと集中して取り組めない、少ない情報で全体を理解する力が弱いという特性に気付けました。趣味で描いている漫画を仕事につなげたいという夢もはっきりしました。
 昨年十二月から、漫画家を目指しつつ、レンタルオフィスの受付管理として働いています。採用前に特性を伝えていたからか、どんな細かい質問にも温かく答えてくれ、安心して働けています。自分に合う職場なんて絶対にないと思っていたので、驚いています。

強み分かり人生動いた 名古屋の男性(22)

 小三の頃、いじめが原因で学校へ行かなくなり、勉強の遅れを取り戻すのが面倒でそのまま中三まで不登校でした。中二の時に親が離婚し、同居の母が精神的な病気だったため、高校進学もせずほぼ家に引きこもり、家事とゲームの日々。二十歳になり、将来どうなってしまうのかと思いつつも、何から始めればいいのかも分からず。そんな中、生活保護を受けていた関係で昨年リンクサポートの支援につながりました。
 仕事の初歩から教わるためにバイトから探すことになりましたが、部活や習い事もしたことがなかったので、まず自分が何が好きで何ができるのかすら分からなかった。それでもスタッフの方は、家事全般が得意なことやストレスのコントロールがうまくできるという強みを見いだしてくれました。働いた経験が全くないことを企業側に伝えながら応募し、昨夏、飲食店に決まりました。
 学習も会話力も不十分だったのでバイト先でうまくやれるか不安でしたが、一から教えてくれて問題ありませんでした。違う年代の人と話すのが楽しいです。今はバイトをしながら高卒認定試験と車の免許取得のために勉強し、二十五歳までには正社員として自立したいと思っています。
 一人じゃ人生が何も動かなかったので、頼れる場所に頼ることは本当に大事だと実感しました。

 名古屋市若者・企業リンクサポート 市内に住む15〜39歳を対象に就労を支援する。障害や生活困窮の有無にかかわらず、本人の特性に寄り添った支援が特徴で、全国でも珍しい。一般社団法人「草の根ささえあいプロジェクト」が市から委託を受けて2019年秋から運営。利用者の55%に不登校経験がある。

経験を語れるか 重要

 就職みらい研究所・増本全(ぜん)所長の話 就職活動では、不登校経験の有無というより、その経験をどこまで客観視して言語化できているかが重要。経験の裏側で得たこと、弱さも強さも含めて自分の持ち味は何か、だから今こう考え、こうしたい−。語れる人は、求める企業に出会いやすく、評価もされやすい。背景に偽りがなく、むしろ大きな強みになる。まだ客観視できる心の状態にない人もいると思うので、無理に当てはめる必要はないけれど、不登校を経験したからこそ見えている景色がある。働く場は多様化し、可能性は広がっている。

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