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<#不登校> 悩める若者の就労支援(上)特性、希望 時間かけ理解

2021年2月3日 05時00分 (2月3日 05時00分更新)
「誰もが長所を伸ばす方に力が注げるように」と願う渡辺さん=名古屋市中区の市若者・企業リンクサポート

「誰もが長所を伸ばす方に力が注げるように」と願う渡辺さん=名古屋市中区の市若者・企業リンクサポート

  • 「誰もが長所を伸ばす方に力が注げるように」と願う渡辺さん=名古屋市中区の市若者・企業リンクサポート
 不登校を経験した人の中には、自信をなくし、就職のタイミングで壁にぶつかる人も少なくない。そうした若者の就労支援を行う窓口「名古屋市若者・企業リンクサポート」(同市中区)では、一人一人の特性に寄り添った独自の取り組みをしている。所長の渡辺ゆりかさん(49)は「今の採用制度は企業と若者のだまし合いになっていて、マッチングがうまくいっているとはいえない」と指摘する。 (北村希)
 リンクサポートは、社会的に孤立する人を支援してきた名古屋市の一般社団法人「草の根ささえあいプロジェクト」が、市から委託を受けて二〇一九年秋に始めた。市内に住む十五〜三十九歳が対象。利用者は月に十五人ほどで、十代後半〜二十代前半が中心だ。全体の55%に不登校経験があるという。
 相談者一人に対して担当スタッフ一人が付き、本人の特性や希望を時間をかけて把握していく。これまでの歩みなどを聞きながら、好き、嫌い、得意、苦手なことを詳しく分類。必要に応じて専門機関の心理検査を受けてもらう。本人の良い面を伸ばせて社風が合う就労先をハローワークの求人などから探し、実習を経て応募。就労後も定着のための支援を続ける。就労先は広告関係や学童保育の支援員など多様だ。
 スタッフが大事にしているのは、企業担当者に本人の良い面だけでなく、苦手なことや課題、それを解決するための提案を採用前に必ず伝えること。例えば「同時に複数の指示への対応が苦手なため、一つずつ出してほしい」「お願いされると全て引き受けてしまいがちなため、進行状況を確認してほしい」など。こうすることで本人も企業も「こんなはずじゃなかった」という「ミスマッチ」を減らせる。企業側からも「事前に教えてもらった方がありがたい」「少しの工夫で解決することが分かった」と喜ばれているという。
 一方、現行の採用活動では「学生が自分のプラス面を必死に前面に出し、企業側がマイナス面をあぶり出すためにグループワークや圧迫面接を実施しているのが主流。これだと入社後のミスマッチを生みやすい」と渡辺さんは指摘する。駆け引きの就活文化に疲れ、相談に来る若者が最近は増えている。ミスマッチが増えれば離職につながり、企業にとっても結局は痛手だ。
 「不登校経験者は、集団や新しい変化が苦手、理解力に少し偏りがある、周囲の感情に敏感といった特性のある子が多く、それだけで周りから責められて自信をなくしてきた」と渡辺さん。その特性について自覚していない例も多いという。「まずは本人がよく理解し、企業側も理解しようとする構図が理想です」
 若者の就労支援では、マナーやパソコン技術を指導する「人が仕事に合わせる支援」は全国に広まっているが、リンクサポートのような「人に仕事を合わせる支援」は珍しい。個に寄り添った支援だからこそ手間暇がかかるが、渡辺さんは「長い目でみると社会全体の効率が高まると思う。全国に広めたい」と前を向く。
 ◇ 
 四日付の(下)では、リンクサポートの支援で実際に就労につながった当事者の話を紹介します。

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