コロナ自宅療養、子ども電話診察 保健所の負担を軽減

2021年1月24日 05時00分 (1月24日 05時02分更新)
自宅などで療養する子どもの電話やオンラインでの診察を「静岡市方式」として提唱する田中敏博医師=本人提供

自宅などで療養する子どもの電話やオンラインでの診察を「静岡市方式」として提唱する田中敏博医師=本人提供

  • 自宅などで療養する子どもの電話やオンラインでの診察を「静岡市方式」として提唱する田中敏博医師=本人提供
 新型コロナウイルスに感染し、自宅やホテルで療養している軽症か無症状の子どもに対し、静岡厚生病院(静岡市葵区)小児科診療部長の田中敏博医師(53)が臨時の主治医として、電話での診察を昨年十月から実践している。子どもや親の不安を和らげ、家族内の濃厚接触者の健康観察も行い、保健所の業務軽減にもつながっている。 (広田和也)

◆静岡厚生病院・田中医師 「静岡市方式」を論文に

 田中医師は電話やオンラインで診察できるこの方法を「静岡市方式」と名付け、今月、日本小児科学会に論文を投稿した。変異ウイルスの確認された県内で感染者がさらに増えれば、自宅療養者や保健所業務の増加も懸念される中、注目を集めそうだ。
 この方式では、コロナ感染判明後の初診時に対面で症状を把握した後、自宅やホテルでの療養となった翌日以降に田中医師が毎日朝と夕の二回、電話で診察する。事前に貸し出した機器で心拍数や酸素濃度を測ってもらい、体調の変化や悩みを聞く。
 家族内に患者や濃厚接触者がいれば、大人、子どもにかかわらず一人ずつ症状の有無も問診。診察した結果を保健所に毎日一回報告する。患者は保険診療として一日数百円を自己負担する。
 きっかけは昨年八月、静岡市が日本小児科学会の指針に基づき、軽症か無症状の子どもを原則、自宅かホテルでの療養にすると決めたこと。田中医師は「気軽にかかりつけ医に受診できず、不安を抱える事例が増えるのでは」と懸念。電話やオンライン診療を活用すれば、子どもが家族のいる慣れた環境で安心して療養できると考えた。
 昨年十〜十二月に、静岡市内に住む中学生以下の患者二十一人と、その家族ら十八世帯の三十三人を電話で診察。期間は平均九日間で、いずれも症状が悪化せず、入院に転じる患者はいなかった。
 静岡市保健所の加治正行所長によると、保健所では毎日、保健師らが患者や濃厚接触者に電話し、健康観察をする。電話するのは多い日で数百人に上り、それぞれ体温やせき、息苦しさの有無など十五項目ほどを聞く必要がある。その一人一人から思いを十分に聞き取る時間がないという。
 加治所長は「丁寧な診察は患者や家族の安心感につながる。業務も減り、大変感謝している」と話す。
 田中医師は論文で「家族に最適な療養環境を提供し、地域の医療資源を守ることができる」と指摘し「静岡市方式は有用」とまとめた。
 この方式に取り組んでいるのはまだ静岡厚生病院だけ。田中医師は、協力する医療機関が増えれば保健所の業務はさらに軽減するとして「濃厚接触者の特定など、保健所だからこそできる仕事に集中できるはずだ」と強調する。

関連キーワード

PR情報