<by高校生スタッフ> 幸せになれる場所探す フィジーの英語学校校長・永崎裕麻さん

2021年1月23日 05時00分 (1月23日 05時00分更新)
語学留学に来た日本人学生や、教員(右から2人目)と孤児院で行うボランティア活動の引率をする永崎裕麻さん(左)=2019年、フィジーのナンディで

語学留学に来た日本人学生や、教員(右から2人目)と孤児院で行うボランティア活動の引率をする永崎裕麻さん(左)=2019年、フィジーのナンディで

  • 語学留学に来た日本人学生や、教員(右から2人目)と孤児院で行うボランティア活動の引率をする永崎裕麻さん(左)=2019年、フィジーのナンディで
  • 永崎裕麻さん
 会社勤めをやめ、世界一周の旅へ。そして日本から約7000キロ離れた南太平洋の島国、フィジーで暮らして今年で15年目という永崎裕麻さん(43)。「やりたいことをやれずに人生を終えることがリスクだ」という人生哲学は、時間に追われ、大事なことを見失いがちな日本人にはどこか新鮮に響く。海外志向の強い高校生スタッフがオンライン取材で迫った。
 真夏の昼下がり、外気温二七度の南国フィジーで、Tシャツ姿の永崎さんが画面上に現れた。世界一周に海外移住。不安はなかったのだろうか。
 「やりたいことをやれずに後悔するのが最大のリスク。それを避けるために世界一周に出たので、むしろ安心に向かった感じ」と説明した。
 「もっと自分に合う町」を求め、移住先を探す世界一周の旅に出たのが二十六歳のとき。納得の移住先が見つからないまま、旅の集大成として参加した内閣府の国際交流事業「世界青年の船」で、陽気なフィジー人と出会った。根は暗いという永崎さんだが「彼らと一緒にいたら幸せになれるかも」と移住を決めた。
 日本人との違いについて、日本人は常に未来を見る長期志向という。「未来の不安を取り除こうとしながら生きていて、やりたいことができない」。一方、フィジーは温暖で、食べ物にはまず困らないから、やりたいことに集中できる。家や車が洪水の被害を受けても、「あふれかえった泥水でボディーサーフィンをしている人もいる」。
 未来ばかり見ていると「車に保険をかけておけばよかった」とか「なぜ高台へ車を避難させておかなかったのか」などと後悔する。「長期視点の眼鏡ばかりではなく、短期視点の眼鏡に掛け替えるよう、日本人は練習をした方がいい」
 そんな永崎さんも時間を惜しむような学生時代を過ごした。やりたいことがないまま進んだ大学はアルバイト一色。大学で授業を六時間受ければ、時給千円の仕事なら「六千円が入らない」と考えていた。
 就職先も同様に、ITを仕事にすれば、パソコンスキルを身につけられ、給料も入ると考え、金融系のIT企業でシステムエンジニアとして働き始めた。通勤時間を惜しんで会社に寝泊まりして働いたが、元来、パソコンが苦手。結果が出ず、つらくなって退職した。
 今は日本人の留学生が学ぶ語学学校の校長を務める。英語力だけでなく、自分自身の生き方を磨くことも重視しているのが気に入っている。
 高校生スタッフからは日本の教育の課題について質問も。「日本はスイミングのバッジや柔道の帯など比較するツールがたくさんあり、勝ち負けや優越感と劣等感で価値観が構成されていく」と指摘。フィジーは助けた、助けられた、それだけ。助けた方も、助けられた方も幸せを感じ、未来を安心して生きられるという土台になっている。
 二〇一九年から永崎さんはデンマークを含む三拠点の生活に挑戦中。国連の幸福度ランキング上位の同国に家族で滞在し、幸せな大人の背中を、子どもたちに見せたいからだという。「『幸せ』をキーワードに、オランダとコスタリカも含めた五拠点も考えてみたい」という永崎さんのスケールの大きな話に、高校生は圧倒されっぱなしだった。 (構成・福沢英里)
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 次回は二月六日付、小学生記者です。

 ながさき・ゆうま 1977年、大阪府生まれ。神戸大卒。金融系IT企業でシステムエンジニアとして約3年働き、退職。2年2カ月に及ぶ世界一周の旅へ。2007年、「幸福先進国」といわれるフィジーへ移住。現在、英語学校「カラーズ」の校長を務める。19年からフィジーと日本にデンマークを加えた3拠点生活に挑戦中。著書に「世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論」(いろは出版)。日本人の妻と息子、娘の4人暮らし。

取材レポート

 山地美潤(みうる)さん(高1・名古屋市瑞穂区) オーストラリアで「私はジャーナリストだ」と言って、たくさんの人に話し掛け、英語を身につけたという話に驚いた。自分なりの方法で挑戦し、人生を切り開き、自分らしさのあふれるものにしていきたい。
 早稲田彩乃さん(高1・愛知県尾張旭市) 「やりたいことがやれないことを後悔するリスクの方が恐ろしい」という言葉を聞き、やらなかったら後悔するのではないかという観点で物事を選択することこそ、新型コロナウイルスの流行に翻弄(ほんろう)されている私たちに必要なのだと思う。
 田中温(はる)さん(高2・名古屋市天白区) 日本人とフィジー人の時間感覚の違いが興味深かった。「日本人は常に時間を分割し、時間が余ったら予定を入れる人が多く、心の余裕を失いやすい」との言葉に、日本の社会問題が浮かんだ。

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