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東海Sに挑戦、オーヴェルニュの鼻先にアブラナの花型“新兵器”

2021年1月22日 12時04分

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栗東坂路を駆け上がるオーヴェルニュ

栗東坂路を駆け上がるオーヴェルニュ

◇獣医師記者・若原隆宏の「競馬は科学だ」
 20日朝一番、オーヴェルニュの栗東坂路単走はまれに見る美しい登坂だった。騎乗した梅内助手のヘルメットの頂に赤い飾りがあり、これが横にはもちろん、縦にもぶれず、赤い軌跡は直線だ。馬と乗り手の重心が安定し、体軸もぶれず、エネルギー効率が最大化されていることが分かる。
 美しき“華”は、ヘルメットの頂のほかにもうひとつ。馬の鼻筋の中央やや先よりに、白いアブラナの花にも似た馬具がついている。リステッド競走を直近2連勝と、勢いに乗る同馬だが、前走までは装着していなかった。
 俗に「クロス鼻革」と呼ばれている。英語では「エイト・フィギュア・ノーズバンド」。8の字鼻革の意味だ。装着時には鼻筋で革ひもがクロスする。外せば全体の形は8の字だ。同馬が装着している製品は、鼻皮の交差点で鼻筋との接触を和らげる部品が、四花弁の花に似た形をしている。
 かわいらしい馬具だが、馬への作用は矯正力の強化だ。主に、口を開けてハミを抜こうとする馬の癖を封じ込める。通常の鼻革(フランス鼻革)は、ハミより耳寄りにかかっていて、馬の開口を制限しない。馬があらがって口を開けると、ハミを浮かせてしまう。
 これに対抗する手段として、鼻革をハミより鼻先側に下げて装着する方法がある(ドイツ鼻革)。この鼻革は鼻先の柔らかい部分で上あごを締めることになる。これは競走馬ではやや不都合だ。鼻腔(びこう)を押さえることで上気道抵抗が上昇。呼吸を若干制限することになる。興奮も引き出しやすい。
 そこで改良されたのがクロス鼻革。ハミの前後2カ所で保定し、口角におけるハミの安定性が格段に向上した。鼻革の交差点では鼻軟骨が鼻腔を支えているので、上気道の内側の形にも影響がなくなる。
 特段、操作性に問題のなさそうな同馬だが、梅内助手は「テンに若干力むこともある」という。クロス鼻革は、課題への解答になりえたのだろう。実際、直近2走より坂路の上がり2Fは時計が一段詰まった。下見所では同馬の鼻先の“アブラナの花”に要注目だ。

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