本文へ移動

MLB変えた元金融マン…低予算レイズをデータ駆使し勝利へ 35億円で移籍のドジャースでは“鬼に金棒”

2021年1月21日 11時29分

このエントリーをはてなブックマークに追加
ドジャースのフリードマン編成本部長(AP)

ドジャースのフリードマン編成本部長(AP)

【データが導くプロ野球新時代・大慈彌功さん特別寄稿[中]】
 ビッグデータによる解析や分析の先駆者は、もちろん米国。1990年台から本格的に野球に導入され、それが日本にも伝わった。大リーグのデータ分析の現状を、米国のプロ野球事情に精通している大慈彌功さんに特別寄稿をしてもらった。
 98年に発足した大リーグのタンパベイ・レイズは地方小都市、いわゆるスモールマーケットのチームである。宿命として低予算のやりくりを強いられる。そこで、スタンバーグ・オーナーは、同じウォール街出身の若手金融マンを編成部門のトップに登用した。05年11月、当時20代だった現ドジャース編成本部長のフリードマンさんを迎え入れた。
 数字に強い人材をトップに据え、データを駆使する戦略に徹したのは、資金力豊富な球団に対抗するためでもあった。結果は08年シーズンに表れ、97勝で初の地区優勝。10~13年は4年連続で90勝以上を挙げた。
 フリードマンさんは14年10月、年俸総額約35億円という破格の5年契約でドジャースに移籍する。その後もレイズはデータを駆使した戦いを継続した。グラウンド上に表れる戦術として記憶に新しいところでは、救援陣が先発して1~2イニングを任せる「オープナー」、フライボール革命等で飛球の割合が多くなった打者に対して外野陣4人制シフトを敷くなど、データを基にした斬新な戦略を打ち出した。
 先発投手の交代機も、蓄積データを基準とした。それが昨季進出したワールドシリーズでは物議を醸すことにもなった。最終戦となった第6戦、6回1死まで9奪三振、わずか2安打、73球だったエース左腕のスネルを降板させた。キャッシュ監督の根拠は、3巡目からは被打率が上がるというデータだった。だが、直後に救援陣が逆転を許し、ドジャースに敗れた。
 ドジャースに移ったフリードマンさんは、高度のデータ解析に基づいた選手獲得、育成に尽力してきた。その結果、15年シーズンから6年連続地区優勝、昨年は32年ぶりとなる悲願のワールドシリーズの勝者に上り詰めた。もちろん潤沢な資金力も背景にあり、現在ではまさに鬼に金棒のチームへと変貌した。
 大リーグのシーズン90勝以上は、08年から19年までの12シーズンでドジャースが最多の8度、それに次ぐのがレイズで7度。ちなみに昨年年初のドジャース総年俸は約236億円、レイズは約64億円、ドジャースの約4分の1だった。
 データを使いこなすのは人。監督を筆頭にコミュニケーション能力にたけた首脳陣がいて、さらに選手個々の理解が得られて初めて生かされるものでもある。
 近年では、アストロズもデータ重視で成功している球団の一つ。これらの球団に学び、追随する球団が年々増えている。半面、こういった成功例が、スカウト受難の時代を招くことになった。
大慈彌功さん特別寄稿[下]
おすすめ情報

購読試読のご案内

プロ野球はもとより、メジャーリーグ、サッカー、格闘技のほかF1をはじめとするモータースポーツ情報がとくに充実。
芸能情報や社会面ニュースにも定評あり。

中スポ
東京中日スポーツ