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球拾いで選手が望む未来像を把握…ソフトバンク“データ部門”の真髄 伝える数字が埋める現在とのギャップ

2021年1月16日 11時34分

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柳田を関本データ分析担当は「感性が優れている」と評価した

柳田を関本データ分析担当は「感性が優れている」と評価した

【データが導くプロ野球新時代】
 日本シリーズ4連覇。関本塁GM補佐兼データ分析担当ディレクター(44)は、圧倒的な強さを誇るソフトバンクのデータ部門の司令塔だ。率いるのは頭脳派の大集団かと思いきや、「アナリストの肩書を持つのは僕を入れても2人」と言う。
 分析方法の合理化を推進した。通常は専門のスコアラーが対戦相手の直近1週間を密着。登板予定の投手や主力打者の傾向を洗い出し、バッテリーと野手に分けて選手に報告する。まず、この「先乗りスコアラー」を福岡に常駐させた。現地にはアルバイトだけが向かい、指示された映像を撮影し、送信する。ミーティング方式も全体ではなく希望者のみが個別で行う。例えばその日の先発がオリックスの山本だとすると、選手が順に資料室を訪れ、担当スコアラーから自分に予想される配球の説明を受ける。
 野手はマンツーマン。バッテリーはスコアラー2人と選手。関本さんは同席はするが「僕はガヤです」と、ほとんど口を挟まない。重要なのは情報の「共有」だと言う。分析チーム内はもちろんだが、担当コーチにも事前に内容を伝えている。関本さんの言葉には、データとは何なのかという問いへの答えが詰まっている。
 「データは伝える物だと思っている。伝える相手は人。いい分析を部屋にこもってしても、選手に届かないのなら何の意味もない」。スーツではなくジャージーを着て、練習中は球拾いが日課。それは選手の本音に触れたいからだ。
 「僕らは寄り添っているだけというのが正しい。『こういう時』の相談役。水飲み場に連れて行っても、喉が渇いてなければ飲まない。知りたいこと、聞いてくれたことにどう応えるか。100の用意は常にしておけと言っていますが、100あっても100出さなくていいんです」
 膨大な数字を押しつけるのは自己満足。そうではなく何をどれくらい欲しがっているのか。それを知るための球拾い。選手には「どうなりたいか」。コーチには「どうしたいですか」。現在と未来のギャップを埋めるためにデータはある。主体は数字ではなく人なのだ。
 積極的に「水」を飲むことで知られている柳田を、関本さんは「感性が優れている」と評した。「データの質問をするのではなく、どう空振りしたか、どうボールとバットが当たったか。自分の空間に置き換えられる力がすごい」。事前に描いたイメージと、実際に体がどう動いたかのズレの確認を繰り返す。
 「補正能力の高さだと思います。スランプを見ない。あったと騒がれない選手」
 詳細なデータはもちろん企業秘密だが、柳田が「どうなりたいか」が明確な選手なのはよくわかる。だからこそアナリストは飲むべき「水」をスッと差し出せる。勝者と敗者の差は、機器ではなく、実は人材でつく。(特別取材班)
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