<己の道> 琉球大教授、教育学者 上間陽子さん(48)
2021年1月15日 05時00分 (1月15日 05時01分更新)
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研究室の棚に分厚いファイルが並ぶ。琉球大教育学研究科教授の上間陽子(48)は二〇一七年から地元沖縄県で、十代で子どもを産んだ「若年出産女性」に会い、インタビューを続ける。ファイルに収まるのは、その時のやりとりを録音し、一字一句書き起こしたデータだ。
「学校からおうちに帰ると、お母さんとどう話していいのか分からなくて、ずっとお山座りをしてた」「自分はさ、小学一年生の時、ももたろうの話知らなかったわけ」。子ども時代を振り返るそんな言葉を目で追うと、少女たちの小さな背中が上間の脳裏に浮かぶ。
地元の人脈をたぐり寄せ、これまで七十六人の若いママから話を聞いた。整理したデータから見える現実は、厳しい。
十四歳ガールズバー、十四歳ピンサロ、十五歳キャバクラ…。仕事を始めた年齢はとても低く、しかも風俗系に行くケースが目立つ。そして、三分の二はDV有り。「イメージで『沖縄はいい場所』とかよく言われますけど、この子たちから見える景色は、全然、そんなものではありません」
上間は一二〜一七年にキャバクラや風俗で働く十代、二十代女性数人にインタビューし、その結果を「裸足(はだし)で逃げる」という著書にまとめ...
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