<言葉は人なり> (下)人生哲学

2021年1月15日 05時00分 (1月15日 15時15分更新)

古田肇さん(73)=無現

逆風の時こそ、どう構えるか。揺るがない根を下ろす草が分かる

 知事として職務に当たってきた四期十六年。裏金問題から始まり、豪雨災害、県防災ヘリ墜落事故、家畜伝染病「豚熱」…。古田はさまざまな「危機」や「逆風」に見舞われた。
 全ての対応がうまくいったわけではない。ただ、検証して次に生かす中で培ってきた行政の危機管理にかけては自信を持っている。
 昨春以降、感染拡大した新型コロナウイルスが県内にも直撃。その対策で、医療、経済、教育など各界の関係者によるネットワークをつくった。意見を集約して施策に反映する「オール岐阜体制」を築いたことも、これまでの経験が生きた結果だ。
 「疾風に勁草(けいそう)を知る」という中国故事を挙げ、こう語っている。「物事がうまくいっている時は追い風に乗ればいい。逆風の時にこそ、いろんな人の個性が見える。絆をつくっていけるし、本物が見えてくる」

江崎禎英さん(56)=無新

自分が幸せになるいちばん簡単で確実な方法。それは誰かを幸せにすることです

 江崎は講演でよくこの言葉を口にする。地域のために尽くした祖父や父。その姿を見て育ち、行政の仕事や自身の生きざまの「根幹」としてきた。
 県出向時代の忘れられない仕事がある。東日本大震災の被災地支援に奔走した。県内に受け入れた被災者を勇気づけようと、岐阜青年会議所などと協力し、長良川河畔で花火を企画。ホテルに被災者を招待した。
 「喜んでもらえるか。自己満足では」。不安がなかったわけではない。だが、津波で家族を失った末期がんの女性はこう言ってくれた。「自分は生きていていいんだと感じられました。ありがとう」。目を真っ赤にした部下の報告を聞き「自分たちも救われた」。
 何歳になっても役割があり、「誰かのために」生き生きと暮らせる社会。人のつながりがある、ふるさとの岐阜県でこそ実現できると思っている。

稲垣豊子さん(69)=無新

私はどちらかといえば安全型。大勝ちも大負けもしない、堅実なマージャン

 会長を務める新日本婦人の会県本部にもマージャンサークルをつくるほどの愛好家の稲垣。自身の打ち筋を問われた時のひと言だ。「吸わない、飲まない、賭けない」という健康マージャンがモットーだが、それでも危ない橋を渡る冒険はしない。「ハイリスクハイリターンはよくない。最後には勝ち負けとんとんで終わるくらいがちょうどいい」
 県政にも話は及ぶ。「県の財政運営もそう。イチかバチかはいけない」。県の借金である県債発行額は累計一兆六千億円。人口で割ると、「県民一人当たり八十二万円の借金を背負っていることになる」。稲垣の街頭演説は、県財政の話題から入ることが多い。
 「知事になったら、新たな建物やイベントはしばらくやめる」と言う稲垣。「まずは借金を重ねている状況を何とかするのが先決だ」。訴えにも稲垣の生き方が表れている。
 (文中敬称略=この連載は、安福晋一郎、浜崎陽介、長崎高大が担当しました)
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