<コロナ下の戦略>2021トップに聞く 河合楽器製作所・河合弘隆会長兼社長

2021年1月14日 10時32分 (1月14日 11時54分更新)
「需要が高まっている電子ピアノの開発を進める」と話す河合楽器製作所の河合弘隆会長兼社長=浜松市中区で

「需要が高まっている電子ピアノの開発を進める」と話す河合楽器製作所の河合弘隆会長兼社長=浜松市中区で

  • 「需要が高まっている電子ピアノの開発を進める」と話す河合楽器製作所の河合弘隆会長兼社長=浜松市中区で
 −昨年の九月中間決算は、主力のピアノの売り上げが前年同期比で三割減った一方、巣ごもり需要で電子ピアノは二割増となった。足元の市況は。
 国内では(緊急事態宣言で)休業していた店舗の再開後に対面販売に注力し、年末商戦はアコースティックピアノ、電子ピアノとも好調だった。感染が再拡大して都市封鎖が行われている欧州も、電子商取引(EC)を利用して電子ピアノを買ってもらっており、期待が大きい。
 経済活動がいち早く再開した中国は教育熱が高く、アコースティップピアノの売り上げは悪くない。感染が広がっている東南アジアは不透明な部分もあるが、全体的に見ても前年を上回る勢いだ。それに対応するため、工場はフル稼働している。
 −同じく苦戦していた音楽・体育教室の状況はどうか。
 入会が見込める三、四月は募集がしづらく、教室の休講もあって大きな打撃を受けた。七月から新規で入会する人が増えたり、もともといた受講生が戻ってきたりして挽回してきた。生徒数は例年に比べてもそれほど減少していない。
 −コロナ禍でコンサートが中止になったり、延期になったりする中、新たにオンラインのコンサートを企画した。
 昨年の七月に始め、これまでに四回実施した。ピアニストの演奏を撮影し、インターネットで配信した。実はコロナ禍の前から考えていたこと。今までは現地に行って鑑賞するものだったが、世の中が変わり、ウェブの利用がコロナで一気に進んだ。今後も継続して開催していきたい。

◆音楽教育 多角的に

 −今年は二〇一九年度から三カ年の中期経営計画の最終年度に入る。
 楽器教育事業も素材加工事業も、無駄のない経営を進めていきたい。需要が高まっている電子ピアノをどんどん開発していくほか、音楽教育も多角的に展開していきたい。
 −音楽教育で具体的に進めている取り組みは。
 戦後に国内で音楽教育を普及させたように、海外にも広げている。昨年九月に中国・北京で幼児向けの音楽教室を開校した。所得が上がりつつある東南アジアでも、教育熱を見込んで同様に力を入れていきたい。教育事業にはお金も時間もかかるが、軌道に乗せれば安定したビジネスにつなげられる。
 −中長期的に描いている目標は。
 百年ブランドを確立させる。河合小市、滋から三代目の私へと続き、二七年に創業百年を迎える。ピアノづくりは時間を要するが、進化していく。一九八〇年に竜洋工場(磐田市)を造った時と今のピアノは大きく違う。(グランドピアノの最高級モデル)「Shigeru Kawai(シゲルカワイ)」をはじめ高い評価が得られている。今後も進化を遂げたピアノを作っていきたい。

<記者の目>「四位一体」海外でも

 「ピアノづくりは河合楽器のバックボーン(背骨)」。河合会長が強調するように、同社は創業の精神を受け継いで高品質のピアノを送り出してきた。コロナ禍で打撃を受けながらも、販売を早期に回復させたのは、ブランド力と共に、市場のニーズに合う商品を投入してきたからだ。
 「シゲルカワイ」はプロ・アマともに需要が旺盛。アコースティックの演奏感に近づけた電子ピアノも人気だ。巣ごもりで電子ピアノの需要が高まる中、河合会長が「しっかりピアノ作りをしてきたから対応できる。他社はまねできない」と自信を見せる。
 国内のピアノ市場は飽和しつつあるが、販売・音楽教室・調律・生産の「四位一体」でさらなるシェア拡大を目指す。今後はこの日本モデルを、市場拡大が続く中国や東南アジアにどう根付かせていけるかが課題となる。 (木造康博)

関連キーワード

PR情報