保守分裂選、相次ぐ要因は 19年以降の6県分析

2021年1月14日 05時00分 (1月14日 09時25分更新)
 岐阜県のみならず、全国の知事選で保守分裂選挙が相次いでいる。多くは、自民の支持が厚い「保守王国」で起きている。近年、国政選挙で自民が強いがゆえ、同党の国会議員と地方議員の関係が、必ずしも緊密でなくなっていることも背景にあるようだ。 (長崎高大、安福晋一郎)
 二十四日投開票の岐阜県知事選では、自民党県連内の支持が、五選を目指す現職の古田肇氏(73)と新人の元内閣府大臣官房審議官、江崎禎英(よしひで)氏(56)で割れた。過去四回、自民は古田氏を推薦したが、今回は意見を集約できず、いずれにも推薦を出さなかった。
 自民県議団(三十一人)はほぼ真っ二つ。党県連会長の野田聖子氏(60)ら、県選出国会議員の多くは古田氏についた。現職続投に批判的だった県議十三期の重鎮、猫田孝氏(80)らが江崎氏をかつぎ出した。
 全国では二〇一九年の統一地方選以降、六県の知事選で保守が分裂した。福井では、新人を推薦した自民党本部に対し、およそ半数の自民県議が反旗を翻し、現職支援に回った。今年四月の秋田も分裂の構図になる見通しだ。
 愛知学院大の森正教授(政治過程論)は、保守分裂選挙になる背景や理由として三要素をあげる。
 まずは「保守王国」であること。自民間で争っても、他党にその座を奪われる恐れがないから、分裂選挙ができる。知事選で分裂した六県は、大都市を抱える福岡を除き、保守王国だ。
 「当選を重ねた現職がいること」も、分裂を招きやすい。長く務めるうちに別の新人を擁立しようとする勢力が生まれ、現職派と対立するパターン。福井があてはまる。
 さらに国会議員と地方議員の緊密でない関係が、分裂を招く例も。安倍晋三政権時代は「自民一強」で、国政選挙では、党の看板だけで自民が楽に勝てる選挙区が少なくなかった。かつてほど、選挙で国会議員が、地方議員の力をあてにしなくなり、両者の間で意見の相違が生まれやすくなった。新人同士の争いとなり、党推薦候補とは別の候補を、自民若手県議が支援した島根が該当するという。
 五選を目指す現職がおり、国会議員の多くと重鎮県議が対立する保守王国・岐阜。三要素すべてが該当すると言える。
 保守分裂は有権者にとって歓迎すべきことなのか。明治大の牛山久仁彦教授(地方自治論)は「有力な選択肢があり、注目を集めるという意味では肯定的に捉えていい」と語る。
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