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支縁の形<8> CFサイト運営会社に聞く

2021年1月14日 05時00分 (1月14日 05時03分更新)
資金の具体的な使い道を図で示すプロジェクトページの一例=レディーフォー提供

資金の具体的な使い道を図で示すプロジェクトページの一例=レディーフォー提供

 新型コロナウイルスの感染拡大に揺れた二〇二〇年、インターネット上で不特定多数に支援を募るクラウドファンディング(CF)の市場規模は大きく拡大した。業界の市場調査などを行う日本クラウドファンディング協会によると、主要七社における二〇年一〜六月の総支援額は前年同期の約三倍に上る。一方、関係者からは「支援をする際はプロジェクトの趣旨を冷静に見極めて」といった指摘も挙がる。 (酒井大二郎)
 「こんな伸び方をするなんて誰も予想できなかった」。業界大手キャンプファイヤー(東京)の大畑広太・経営企画チームマネージャーが、オンライン取材で戸惑うような笑顔を見せた。同社が運営するCFサイトにおける二〇年の流通額(集まった支援額の合計)は、前年の約七十億円から約二百億円にまで急伸。プロジェクト掲載件数も同一・五倍の約一万五千件に増えた。

◆融資、間に合わず

 このうち、新型コロナ関連のプロジェクトは約四千七百件、支援総額は約百億円と全体の半数を占めた。昨年四月の緊急事態宣言発令が一つの契機になったという。同社広報担当の加賀美実里さんは「コロナ禍により、既存の金融の仕組みや助成金だけでは間に合わず『もうCFしか資金集めの手段がない』という人が増えた」と分析する。
 大手CFサイトは地銀や信金など全国の金融機関との提携を進めており、融資がかなわなかった取引銀行の紹介でCFにたどり着いた事例も多いという。
 業界大手のレディーフォー(東京)によると、運営するCFサイト内での二〇年の平均支援単価は、例年比六割増の約一万六千円。支援者一人当たりが使う金額も増加したが、プロジェクトによって目標額に対する達成度に差があることは確かだ。

◆具体的な使い道を

 どんなプロジェクトが多くの支援を獲得しているのか。大型資金調達を達成した案件を複数担当してきた同社の小谷なみ・キュレーター事業部マネージャーは「支援の集まりやすさは、企画の内容やジャンルで大きく左右されるものではない」と話し、「資金の使い道をより具体的に示し、明確に訴えること」をポイントに挙げた。
 約五千万円の支援を得た病院関連のプロジェクトを例に挙げ、「まず最低限のゴールを設定し、そこまで達したら何ができるのか。目標達成後さらに資金が集まれば何がかなうのか、といった先を見据えた展開が重要になる」と指摘した。
  =おわり

◆計画の趣旨 見極め

 CFの調査などを手掛けるクラファン(東京)の板越ジョージ社長(52)の話
 コロナ禍で日本におけるCFが盛んになったのは事実だが、対価が返ってくることが前提の購入型CFサイトにおいても、増えているのは実質的な寄付を求めるものばかり。税制優遇が未熟で寄付文化がない日本では、どこかで限界を迎えると思う。米国で一般的な、新商品の開発費を募るマーケティングツールとしての側面をより強化していかないと、CFは深く根付かない。
 また、支援者側にも注意が必要だ。例えば困窮した飲食店が返礼品として食事券を用意していても、店がつぶれてしまえばそれを使うこともできない。自分がどういう目的で支援をするのか、プロジェクトの趣旨は何なのか、冷静に見極めてから支援してほしい。

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