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タトゥーとはなんぞや?元世界王者が熱く語る「井岡君は思いやりに欠けた」【竹下陽二コラム】

2021年1月10日 05時00分

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田中恒成(左)と対戦する井岡一翔=2020年12月31日

田中恒成(左)と対戦する井岡一翔=2020年12月31日

 大みそかにTKO防衛したWBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔のタトゥー問題が浮上して、真っ先に頭に浮かんだ男がいる。元WBC世界スーパーフライ級王者・佐藤洋太である。
 2013年に引退した洋太は地元盛岡に帰り、焼き肉チャレンジャーの店長を務めている。現役時代は、腕と背中にタトゥーを入れて、リングに上がる際はJBC(日本ボクシングコミッション)の指示に従い、ファンデーションで隠した。その洋太は井岡問題に何を思うのか。人はナゼ、タトゥーを入れるのか。そもそも、タトゥーとはなんぞや。そんな疑問が次々湧いて、洋太に電話を入れた。
 大寒波の盛岡は連日の大雪。洋太は焼き肉店周辺の雪かきの真っ最中だったが、その手を休め、快く取材に応じてくれた。
 あけおめです。井岡問題でちょっと聞きたいことが…。
 「取材ですか? 個人的な会話ですか?」
 半半です(笑)。井岡問題で洋太のこと思い出したんで。ざっくばらんな意見を聞きたくて。
 「いいすよ。昨日も仲の良いボクシング記者から電話がかかってきて。同じことしかしゃべれないけど、ボクの考えは変わらないんで」
 いいす、いいす。
 「まず、タトゥーのルールうんぬんよりも日本で試合やる以上、コミッション(JBC)と関わらなきゃいけないということです。いろいろ、批判されるけど、ボク、好きなんすよ、コミッションの人たち。レフェリーやってる人もジャッジやってる人も。一人一人がボクシング愛と人間味にあふれて。現役時代、あいさつしたり、会話することもあって。みんな良い人なんすよ。いいボクシングしたねって、なにげに声かけてくれたり」
 JBCの考えは古くさいいだの、外国じゃ認められるだのとよく言われますが…。
 「入れ墨については、ルールを明確にする必要はあると思います。ルール違反だけど、一方では、グレーなところもあって。腕は良いけど、胸はだめだとか。だから、ボクは現役時代、タトゥーは、腕と背中に少しだけでやめときましたけど。それでも、コミッションの人に言われたら、一生懸命隠すのが、礼儀だと思うんすよ」
 そもそも、なんでタトゥー入れるの? 痛そうだし、日本ではマイナスイメージもあるし。
 「別に信念とか意味があるわけじゃないんすよ、ボクの場合は。ボクにとっては、他と一線を画したファッションなんすよ。単なる、かっこつけ。ただ、覚悟がないとできないファッション。好きでやってる以上、周りに迷惑かけたくないじゃないですか。だから、コミッションに言われたら、必死で隠したっすよ。ボクの青春を支えてくれた人たち。感謝してるんすよ」
 井岡も試合前にファンデーション塗ったけど、汗で落ちて、タトゥーが露出したとの報道もあるけどねえ。
 「井岡君の行動は、コミッションの人たちへの思いやりに欠けたんじゃないかな。ルールをシカトして、消しませんじゃ、かっこわるい。思いやりがない。ガッツリとファンデーションをこれでもかと塗って、それでも、見えたんじゃ仕方ないね、と思われるくらいの気持ちを見せてほしかったすね」
 タトゥーは消すのも大変。後悔することは?
 「『入れ墨を入れてる者の人生は退屈じゃない』っていう格言があるんです。入れ墨ごとに、あの時はこうだった、この時はこうだったって、思い出があって。だから、後悔はないです。日本では、歴史をひもといても、入れ墨にマイナスイメージをもたれるのは仕方ない。それは、分かってやってる。だって、そういう国で生まれ育ってきたんだから。でも、(世間的に)認めてほしいとは思わない。逆に認められて、みんながやってたら、ボクはやらないすよ(笑)。こっそり楽しむのがいいんすよ、ボクの場合はね。タトゥー愛好者は、同士みたいなところあって、見せ合ったりするんすけど、井岡君のタトゥーはパっと見、結構、好きすね。話す機会があったら、タトゥー談義してみたい(笑)」
 今後もタトゥーを。
 「引退してから、胸やおなかとか、随分、タトゥーは増えました。今は、専ら、スケボーメーカーのロゴを入れてますけど。これからも、タトゥー増やしていきますけど、それも、40歳までと決めてます。手とか足は我慢できるけど、ボディは痛すぎて。結構、体力使うんすよねー」
 一口にタトゥーと言っても奥が深い。タトゥーと言えば、どこか暗く、怖いイメージがあるが、この男の口で語られる「タトゥー論」は、どこかホンワカ温かい。スケートボードが趣味の洋太は今年10月に盛岡市内にスケボーパークをオープンさせる。「その時は、取材来てくださいね」と洋太。再会の時は、また、そこで、洋太ワールドに触れてみたい。
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