<ユースク> 国際ロマンス詐欺 被害女性インタビュー

2021年1月11日 01時37分 (1月12日 09時18分更新)
 国際ロマンス詐欺で計1300万円を騙し取られた女性との一問一答は次の通り。北海道警が捜査中の事件であり、警察発表以外の事件の詳細やプライバシーに関わる部分は省略か、一部、内容を改変している。
Q:恋愛観などに関しておたずねします。結婚されたのはいつですか?
A:20代半ばごろかな。子どもを妊娠して結婚したんですけどね。元旦那の知人に紹介してもらって。当時、元旦那は刑事事件を起こしてふさぎ込んでいたので、知人がそれで気晴らしで若い子紹介してあげるっていうことになってね。紹介されて知り合って、私が足がわりになって色んなところに連れて行くうちに、色んな知識を与えられていいなと思って。
でも、元旦那はアルコール依存症だったんです。ものすごく気が小さいって言うか。結局私に対しての暴力もあったんですけど。飲酒運転して警察に対して暴れて逮捕された。
私の父もお酒の依存症で、育児だとか一切関係なく、自分のことだけだった。私、年上の男性、大人の男性にすごく憧れ強いみたいで。私の知らない世界いっぱい知ってて。 そのころはまだ暴力を振るわれたりすることもなかったから。色んな大人の世界があって面白いってなってたんですけど。半年もたたないうちに暴力が始まったの。それで何回も別れたりしてるんですけど何でしょう?だらしなくずるずる続いているうちに子どもを妊娠しました。
Q:暴力の理由は?
A:要はプレッシャー負けですね。元旦那は仕事に関して同業の父親を超えたいっていう思いが強くて。でも仕事のプレッシャーに耐えきれず、人間的な評価が周りからすごく低い人だったので、それもあったみたい。それとやっぱアルコールですよね。暴力が私だけだったらまだ我慢できてたのかもしれないですけど、ある時、娘に対して、素面の状態で「お前なんか死んでしまえ」って言ったんですよ。すごく男の子が欲しい人だったんだけど、女の子はいらなかったみたいで。それを聞いて、「これはダメだ」となりました。この人は子どもがいても変わることはないと確信して離婚しました。
Q:暴力とは?
A:いろいろですね。 殴る蹴るもありましたし、一度、灯油をかけられて、ライター持って追っかけられたこともあったし、 包丁を突きつけられたこともある。家の中は常にめちゃくちゃでした。お酒を飲まなくても、物に当たったりとか、言葉の暴力もすごかったですから。「お前はおれのストレス発散のためにいるんだ」みたいなことを言われたこともありました。離婚調停を経て離婚しました。
Q:離婚後は恋愛はせず、子育てに必死だった?
A:そうですね。あと、やっぱり怖かったのもあります。やっぱり男の人は結婚すると変わると思っていましたから。あえて見ないようにしていました。でも私はすごく恵まれていたと思いますよ。母が子育てを手助けしてくれましたから。おかげで仕事ができました。
Q:昨年10月下旬にフェイスブックで「米兵」を名乗る男から連絡が来た?
A:過去にも外国人から来たことはあったんですが、承認してもあとはメッセージが来ることもなく、ほったらかしっていう感じだったんですよね。(やり取りしたのは)今回が初めてです。
Q:やりとりをした印象は?
A:正直、何だろうこの人って不思議に思いました。あと、言葉遣いなどがずいぶん律儀だなと。最初は私、警戒してました。軍人と言われた時も「やばい、この人」と思いました。「繋がっていいだろうか」って思ってました。
Q:やりとりを続けたのはなぜ?
A:何でなんでしょうね。私もそれを言われたら、ちょっと分からないです。次から次へとメッセージが来るので。何でしょうね。本当になんとなく。
Q:やり取りを重ねるうち、まあいいかなって感じでLINEを教えた?
A:(やり取りしていると)相手への警戒感もなくなってきちゃうんですよ。最初はフルで疑ってたんですけど、だんだんと薄れてきて。変なこと聞かれるわけでも嫌なこと言われるわけでもないしっていう感じで。
Q:普段かかわっている人とはちょっと違う?
A:そうですね。仕事中は女性というのを極力出さないようにしているのもあります。深夜に及ぶ業務が結構多い仕事で。体力的にも厳しい職場なんですよね。
Q:LINEを交換してから気持ちに変化が出てきた?
A:結婚より何より、やっぱり最終的には「仕事を辞めてください」と言われたのが一番です。ハッとしましたね。「辞めていいの?」って。私もうこんな思いしなくて済むのっていうのは凄く大きかったですね。結婚は夢物語な感じで現実味はなかったですよ。正直浮かれた気持ちではいたんですけど。「あなたの仕事が大変だ、やめてください」って言われた時にものすごく現実的に感じたんですよね。
Q:この人が今の自分を解放してくれるんじゃないかと思ったんですか?
A:はい。(仕事が)負担だったんでしょうね。もう、そのころには依存してしまってました。愛してるだ何だと、すごいやり取りしてるじゃないですか。初めは嬉しいより何よりものすごく恥ずかしかったです。「愛してるって言ってくれ」みたいなメッセージもあったんですけど、すごく抵抗があったんです。恥ずかしくて、恥ずかしくて。でも慣れちゃうんですね。平気で言えるようになっちゃうんですよね。
Q:11月上旬になって詐欺が始まった。「報酬金を贈りたい」と聞いた時はどう思いましたか?
A:普通に宅急便のように、ただ受け取ればいいんだって思いました。お預かりしますって軽い気持ちだったんですよ。私がお金を払うなんて何も言われてませんから。ちょっと送ってくるもんだと思ってたから。
Q:預かっていれば相手が(自分のところに)来ると。ところが、自称「代理人」からお金を振り込んで欲しいと連絡があった。
A:まさか私に払えって言ってくるとは思ってなかった。ジョンに聞いたら私が払うことになっていると言われて、「私そんなお金無いですよ」って言ったんですが。でも「あなたを信用して送った」みたいな感じで言われて焦った記憶があります。何とかしなきゃって。
私が払わなければ、この人は私のところに来ないのかなと思った気がします。その後もいっぱい払わされるなんて思ってなかったですし、その荷物も実在すると思ってましたから。日本に来たらお金は返してもらえると思っていました。だったら今払ったほうがいいのかなみたいな感じになったような気がします。一回払った後はものすごく安心しました。
Q:初めは不安になったが、お金を払うとその不安がなくなった?
A:続いて請求されるなんて思ってなかったんですよね。今回だけだと思ってたので。それからは、毎回毎回払い終わったらほっとした記憶があります。その次が怖くて、怖くて。また請求されるのかなと。
ジョンは毎回、「これ以上、支払いはないと思う」みたいなこと言うんですよね。で、また連絡が来るんですよ。けっこう早い時点でおかしいなっていうのはあったんですけど。なぜそこを私は突き詰めなかっただろうって今になって後悔してます。
Q:騙されてるとは思わなかった?
A:騙されてるんじゃないかって思ったのは途中からだった気がします。初めはおかしいなってところで止まってたような気がします。細かな言葉遣いとかもなんとなく違和感を感じていた。「何だろう」とは思っていた記憶はあるんですが、そこから突き詰めなかった。頭がご都合主義になっていて「ま、いっか」みたいな。
Q:追及して相手が離れていくのが怖かった?
A:何回か聞いてはいるんですよ。でもはぐらかされてしまって。あと、ちょっといやらしい考えだったんですけど、報酬金が届けばお金も帰ってくるという気持ちもありました。
Q:(LINEの記録をみると)多い日は一日に100通以上やりとりされていますが、仕事中でも家でものべつまくなしに向こうの都合で送ってくる?
A:そうですね。深夜の仕事中にもあります。正直家にいるときはいいですけど 、仕事中は本当に困りましたね。返事も返しづらいので。それでも、返さなきゃ、今メッセージ来てるから、今返さなきゃって。例えば、「1時間後なら返事ができます」と返しても、「そんなに?」と帰ってくる。頑張りますからって言って返事を続ける感じです。
Q:支払いはどんどんエスカレートしていった?
A:例えば、初めの運送費が100万円だとすると、お金が作れないので「ちょっと時間が欲しい」というと、「費用が増えます」と言われる。いくらか尋ねると「200万円」と。一気に2倍なんて絶対無理と思いました。そうこうしていると、またトラブルが起こったのに請求額は前の200万円から100万円に下がっている。なんでそんなことが起こるんだろうと不思議に思っていました。
振り込んで安心して、すぐ不安になっての繰り返し。怖くて怖くて仕方なかった。いつまたお金って言われるだろうと思って。なんでこんなにトラブルが次から次から出てくるんだろって。「おかしくないか?」って思いながら。
でも、軍人なんで「テロリストに命を狙われている」っていうんですよ。「私を救うために急ぐ必要があります」みたいな感じで言われるんです。だから私も焦っちゃったんですよ。本当に危ないと思って焦っていました。
Q:信じてしまった?
A:信じていましたね。ニュースなどで紛争地のドキュメンタリーなどをたまたま見てしまって。そうしたら聞いていたような世界だったんですよね。そういう情報も思い込みを後押ししてしまった。「ジョンがいるのはそんな世界だったんだ」って。
Q:周りに相談は?
A:相談は私から「聞いて」と言ったんじゃなくて、 周りから「大丈夫?何かおかしいよね」って言われて。「なんともないよ」といった記憶があるんですが、その時点で泣いていたような気がします。でも、話したのは、振り込みが始まってすぐではないです。常々「誰にも言うな」と言われていますから。言えたらどんなに楽なんだろうって思っていました。
Q:家族にも言うなと?
A:そうです。結局どうしても金策ができなくなって、家族からお金を借りることになっちゃって。ジョンに「家族に言うしかないから少しだけでも言わせてくれ」と言ったのを覚えています。そのあたりでは、もう家族から「本当のことを言え」と言われてましたから。
Q:家族にはどう説明?
A:「今は言えない」ってずっと言ってたんです。家族からしたら「今は言えないって話ないだろう」って。「家のお金をいくら持っていったと思っているんだ」と言われて。でも「申し訳ないが言えない」で突き通して。それも限界で、家でも監視されていました。私が携帯やタブレット端末を持ったら、家族から「また、何やってるんだ」みたいな感じで言われてました。私が家族の立場だったら同じだったと思うんで、よく耐えてくれたと思います。でも最後の方は、お金が作れなかったっていうのも実際にそうだったんですが、作りたくなかったという気持ちもあったんですよ。私ばっかりなんでお金出してるんだって気持ちも強かった。要求すればポンポン出すっていうのも自分でも分かっていました。 私、こんな大変な思いしてお金を作ってるんだぞっていうのをジョンに知らしめたかったっていうのもあります。
Q:振り込んだ金額は総額でいくらになりましたか?
A:消費者金融から400万円ぐらい、自分の貯金で100万円超、残りの800万円は家族からですね。老後や家族のために貯めていたみたいです。来春から仕事を増やして返さないといけません。
Q:振り込みが続いたときはどんな生活でしたか?
A:眠れませんでした。ずっと携帯やタブレットを握って、ずっと座ってました。ベッドで寝ようと思っても、ずっと握りしめていました。いつ連絡が来るか分からないし、おかしくなっていたんですね。お金借りるに当たって、最後は家族に打ち明けたんです。そうしたら「騙されてるんだ。そんな馬鹿みたいな話はどこにあるんだ」と怒られて。私がおかしくなってる、っていうのが家族には一番、切なかったみたいで。私がずっと携帯を触ってると、「そんなもんいつまでもいじっているからそんなことになるんだ」と怒られました。
Q:それでも信じたい気持ちがあった?
A:荷物に結婚証書を入れたという話も、私にとっては大きかったです。すべてにおいて慣れてない、免疫がない状態だったんです。恋愛の事にしても男性との会話にしても、全てにおいて慣れてない。そこを上手に操られてしまったのかなって。
信じていたというよりも、愛していたという方が大きかったのかな。どう考えても信じられる感じじゃないですよね。今にして思えば。こういう状態って言うのはやはり愛情だったんですよね。
Q:詐欺だと確信したのはいつですか?
A:知人が心配して声をかけてくれて、中日新聞のネット記事が送られてきました。それを見て愕然としましたね。細かな部分は違いますが、言われていることがよく似ていると。血の気が引きました。騙されたとはっきりした。それまではシーソー状態だった。どちらかって言ったら疑ってる方が大きかったんですけど。
Q:インタビューで体験を話そうと考えたのはなぜですか?
A:同じような思いをする女性が少しでも少なくなってほしい。私は振り込め詐欺は知っていたが、ロマンス詐欺のことは知らなかった。もう少し周知してもらって、警戒心を持ってもらって。オレオレ詐欺だとか振り込め詐欺以外にもこういうのがあるんだって知ってほしい。国際ロマンス詐欺の方が被害が大きくなるかもしれない。ロマンス詐欺は愛情が関わる。なけなしのお金を持っていかれて傷つくのに、愛情という感情も傷つく。今回は身にしみて分かったので、同じような思いをする女性、男性が少なくなれば。そのために周知してほしいと思いました。
Q:被害にあうまで自分が騙されるとは思っていなかった?
A:警戒しているというか、自分は引っかからないだろうと思っていました。わりと貧乏してきたこともあって、お金に関しては慎重な方だったんですよ。だから、お金に関してこんなに次から次へと要求されて、すぐに支払ったのに自分でもびっくりしました。
結局、愛情をうまく利用された結果なんでしょうけどね。こんなに盲目的に、何も見えなくなるとは思ってもいなかった。恋愛ってしておくべきですね。
いち女性として恋されるってすごく新鮮だったし、「仕事をやめて」って言われたのも決定打になった。私はコンプレックスの塊なんですよ。全てにおいて自信がない。美人なわけでもない、スタイルいいわけでもない、収入が高いわけでもない。何をするにも中途半端。そんなコンプレックスの塊の私の気持ちを上手にくすぐった感じですね。

【事件後の生活、教訓は】

Q:犯人へ訴えたいことは?
A:正直ないですね。早く捕まってほしい。恨み節はもちろんあるんです。でも未練なんですね。
Q:未練とは?
A:何でしょうか。これが本当だったらどんなに良かったかといつも思います。現実は受け入れているんですが、一方で、本当だったら良かったなっていう思いはまだあります。お金を請求される以前のやりとりはうれしかった。
Q:今も生活への影響は出ていますか?
A:まず食事ですね。食事がとれない。頑張って食べようとするんですけど。前のようには食事をとれなくなりました。1日、食べないときもあります。考える時間がある日は特にだめですね。何も考えないで仕事しなきゃとかそういうときは食べられるんですけど、変に今日は暇だなっていう日は考える時間があってだめですね。LINEの通知音が鳴るとビクッとします。休日も身の置きどころがないですね。家にいてもどうしたらいいのっていう感じで。
ATMもとっても怖いです。給料下ろすときに銀行に入るとすごくトラウマになっている。立ちすくんでしまう。銀行に入る前に気持ちを落ち着かせないと入れない。
Q:騙されないためにはどうすればいいと思いますか?
A:接触を、繋がりを持ったら無理だと思います。私も絶対、大丈夫だと自信があったんです。どんな詐欺にも騙されないと。でも簡単にいっちゃってる。繋がり持っちゃったら多分無理だと思います 。繋がりを持たないように。こういうのがあるっていうことを周知してもらいたい。国際ロマンス詐欺はまだ認知度が低いと思う。
 こうしてお話するのはすごく恥ずかしいです。本当に恥ずかしい。「いい年して何をとち狂ったんだ」って思われるだろうなとか。人の目はものすごく怖いです。でも恥ずかしいからといって、隠してしまうと周知できないと思うんですよ。金額が大きかったっていうのもあるんですけど、それ以上にやっぱり傷つくんですよね。こういう思いってしなくていいことじゃないですか。周知してもらえれば自己防衛できると思うんです。

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