【石川】実習生 成人式心待ち 晴れ着姿 ベトナムに届けたい

2021年1月7日 05時00分 (1月7日 10時00分更新)
中能登町の成人式に出席する技能実習生のファム・ティ・ガットさん(左)=石川県七尾市下町の丸井織物七尾工場で

中能登町の成人式に出席する技能実習生のファム・ティ・ガットさん(左)=石川県七尾市下町の丸井織物七尾工場で

  • 中能登町の成人式に出席する技能実習生のファム・ティ・ガットさん(左)=石川県七尾市下町の丸井織物七尾工場で

中能登町初 住民協力で夢かなう

 十日の石川県中能登町の成人式に、外国人技能実習生が初めて出席する。同町久乃木(くのぎ)の合成繊維織物大手「丸井織物」で働くベトナム国籍のファム・ティ・ガットさん(20)。故郷を離れ一年余り。未知の場所、さらにコロナ禍での式となるが、地域住民らの協力であこがれの着物に袖を通す日が近づき、「楽しみでワクワクする」と胸を躍らせる。(稲垣達成)
 昨年十二月下旬。ガットさんが働く七尾工場(同県七尾市下町)で、成人式に向けた打ち合わせがあった。「当日は早起きだけど、大丈夫?」。上司から尋ねられたガットさんは「自信あります」と言い切った。
 ベトナム・ハノイから車で二〜三時間。北部のバクニン省で生まれ育ったガットさんは、二〇一九年十一月に来日。翌十二月から実習生として丸井織物で働く。布を織る前の準備作業が主な仕事。日勤、夜勤をこなし技術習得に励む。
 「二十歳になったら着物姿で成人式に出るのよ」。来日前、現地の日本語講師にそう教わった。ベトナムに成人式はなく、式の様子は想像すらできない。だから興味が湧いた。「着物を来て、参加してみたい」
 十九歳で親元を離れ、海を渡った。「文化も天候も違う。不安だった」。慣れない作業に手間取ることもあり「日本語も作業も覚えることがいっぱいで大変」。休日の買い物や散歩を息抜きに、研さんを重ねる。
 そうした生活の中、日本文化に強い関心を抱く。町の生涯学習センター「ラピア鹿島」での日本語教室や多文化共生クラスに積極的に参加。生け花に挑戦し、年賀状も書いてみた。「友達もでき、本当に楽しい」。他の実習生や外国語指導助手(ALT)らと共に、日本語を磨きながら和のしきたりなどを学ぶ。
 町内に外国人が増えていることもあり、町は前回から対象の実習生らにも式の案内を送付。丸井織物の後押しもあり、ガットさんは参加できることになった。
 周りも献身的に支える。式で身に着ける振り袖や髪飾りは、日本語教室のスタッフらが貸してくれることになった。当日の着付けも髪のセットもボランティアで行う。「夢をかなえてあげたい」。そんな思いが輪になっている。
 不安もある。周りは知らない日本人ばかり。緊張もしそうだが、自身の晴れ着姿を想像すると思わず笑みがこぼれる。「タイミングが合わないと、参加したくてもできない。ラッキーです」。当日着るのは花柄が描かれた青い振り袖。母国で暮らす家族に記念写真を送り、元気な姿を届ける。

【メモ】外国人技能実習制度=開発途上国の経済発展を担う人材育成を目指し、日本企業などが外国人を実習生として受け入れる制度。1993年に創設。実習生は企業や個人事業主などと雇用関係を結び、技能や技術、知識などを習得する。期間は最長5年。人手不足を補う安価な労働力として扱われ、劣悪な生活・労働環境が問題視されることもある。出入国在留管理庁によると、実習生は2020年6月末時点で40万2422人。


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