本文へ移動

“世界の尚弥”にプロフェッサー井岡…特に最近の日本人ボクサーはスケールが大きい【山崎照朝コラム】

2021年1月5日 15時28分

このエントリーをはてなブックマークに追加
8回、田中恒成(手前)にTKO勝ちした井岡一翔=2020年12月31日

8回、田中恒成(手前)にTKO勝ちした井岡一翔=2020年12月31日

 コロナ禍で迎えた大みそかだったが、格闘技は熱かった。ボクシングのWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチは王者井岡一翔(31)=Ambition=と、同級1位田中恒成(25)=畑中=の複数階級制覇同士が対決し、井岡が貫禄の8回TKO勝ちで期待に応えた。
 関東地区の視聴率はビデオリサーチ調べで平均10・2%。2桁に乗せて主催者も安堵(あんど)したことだろう。RIZINも同7・3%。NHKの紅白歌合戦など強力な裏番組と競っての数字だけに“まずまず”だったと思う。
 当日、私はボクシング会場だったが、井岡が“格の違いを見せる”と予告した通りの貫禄“V2”。最高のパフォーマンスで2020年を締めくくった。試合内容も見応えがあった。序盤から田中が挑戦者らしく果敢にジャブを繰り出し、多彩なコンビネーションで世代交代に期待を抱かせた。
 しかし、井岡も仕上がりが良かったのだろう。終始冷静で田中のパンチをじっくり見て距離感を把握。出てくる田中に5、6回と左のショートフックを浴びせて2度のダウンを奪い、8回にパンチを集中させた。その沈着冷静な戦いぶりはまさに職人芸で、田中に「こんなに差があるとは思わなかった…」と言わしめたほどだった。
 ボクシングを取材してかれこれ40年以上になる。世界王者はみんな凄いのだが、最近、日本人選手にスケールの大きさを感じる。複数階級を制覇し、現WBA、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(27)=大橋=は強さに技術の高さを備え、今や“世界の尚弥”として本場米国から渡米オファーを受けるまでになった。新型コロナ禍がなければジョンリエル・カシメロ(フィリピン)と3団体統一戦のスーパーファイトが実現していた。
 前述した井岡もしかり。一度は引退を口にしたが、渡米してボクシングの技術を再構築してきた。メンタル面も強化され、まさに“プロフェッサー”になった。年に2、3戦が通常のペースのところ、コロナ禍で前年の大みそか以来、1年ぶりの試合。しかも井岡陣営のキューバ出身のイスマエル・サラストレーナーが試合直前まで不在だったにも関わらず芸術的KOでファンを魅了した。この集中力とパフォーマンスには驚嘆するばかりだ。
 ただ、新型コロナウイルス感染拡大に伴い興行も難しくなっている。14日には後楽園ホールで今年最初のボクシング興行「フェニックスバトル」が行われる。メインイベントでは井上尚弥の弟で元WBC世界バンタム級暫定王者井上拓真(25)=大橋=が東洋太平洋(OPBF)同級王者栗原慶太(27)=一力=に挑戦する。
 コロナを吹き飛ばす熱い戦いに期待だが、井上尚に続き、世界に飛び出し、海外リングに上がるような怪物登場にも期待したい。
(格闘技評論家)

関連キーワード

おすすめ情報

購読試読のご案内

プロ野球はもとより、メジャーリーグ、サッカー、格闘技のほかF1をはじめとするモータースポーツ情報がとくに充実。
芸能情報や社会面ニュースにも定評あり。

中スポ
東京中日スポーツ