「長かった」FC東京・森重が流した涙 イライラした過去から…サッカーが楽しい現在への道のり【ルヴァン杯】

2021年1月5日 11時32分

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カップを掲げて喜ぶ森重(中央)らFC東京イレブン=国立競技場で

カップを掲げて喜ぶ森重(中央)らFC東京イレブン=国立競技場で

  • カップを掲げて喜ぶ森重(中央)らFC東京イレブン=国立競技場で
◇4日 ルヴァン・カップ決勝 FC東京2―1柏(東京・国立競技場)
 長い笛の余韻が残ったまま、森重は東にその場で押し倒された。そこに選手たちが次々と寄り掛かった。もみくちゃにされる、チーム最古参のベテランのほおに熱いものが流れた。
 試合直後「長かった」と勝利の味をかみ締め「本当にうれしかった。そして、ほっとしている。その2つしかない」。短い言葉に実感がこもっていた。
 それは誰よりも敗北の味を知っているからだ。2010年に青赤に袖を通したが、翌年の天皇杯制覇を最後にタイトルからは遠ざかってきた。苦節9年。その中で何度も苦杯をなめてきた。
 大事な試合で負ける度に「このままじゃ駄目だ」と怒りをぶちまけてきた。13年からはキャプテンを務め、日本代表にも定着すると、周囲との意識や温度の差にいら立ちを覚えることすらあった。
 「以前は周りにイライラもした。自分と温度差があるのは仕方ないってどこかで割り切ってきた。でも今は違う」
 それまで森重が1人で背負ってきた荷物を分担して持ってくれる経験豊富な仲間が増えた。肩の荷が下り、ここ数年は「サッカーが楽しくて仕方がない」とよく口にするようになった。
 以前のような他人を寄せつけないオーラは内に秘め「自分がしてきた経験を伝えないのはもったない。俺の経験もまたこのチームの財産だから」と、若手とサッカー談議に花を咲かす姿も目立つようになった。
 今季は多くの若手がピッチに送り出され、チームを底上げしてきた。森重の存在は紛れもなくその一助となった。
 「優勝の味を知っているのと、そうでないのとでは大きな差がある。だからこそリーグを勝たないといけない」
 その目は早くも次なるタイトルへ向けられた。“負けを知る男”は、どこまでも勝ちに飢えている。

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