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「3番のケツ!」「痛いの痛いの、とんでけ~」ボディビル&野球 予測不能のスポーツ応援席探訪記【増田護コラム】

2021年1月4日 11時23分

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学生ボディビル全国大会の開会式から 確かに早稲田の腹筋は陰影がくっきりだ

学生ボディビル全国大会の開会式から 確かに早稲田の腹筋は陰影がくっきりだ

 応援席ほど予測不能でスリリングな場所はない。ボディビルの声援にはまったきっかけは誘われて出かけた6年前の学生ボディビルだった。
 500席ほどの会場はほぼ満員。筆者の前には10人ほどの東大OBが陣取り「早稲田の腹筋見たか。マジックで描いたかと思ったぞ」「陰影がすごい」などと、早くもマニアックな会話が交わされ、応援する番号を確認しあっている。
 競技はゼッケンつきビキニパンツ1枚で進行するため、番号と言葉でしか観衆や審判にアピールできない。競技が始まると会場から大声援が飛び交い始めた。番号連呼のほか基本コールはこの2つだった。
【デカい】筋肉量の多さを意味する。トレーニングを積み、タンパク質をたっぷり摂取した成果だ。
【キレてるキレてる】筋肉がくっきり浮き出るくらい絞れている状態。体脂肪を減らし、減量した努力のあかしだ。
 ここで東大OBから情緒的な言葉が飛び出した。
【背中に羽根がはえた】広背筋をアピールするためで「飛んでいく~」と続いた。空に舞い上がる天使の絵が浮かんでくるようだ。さすがは東大、応援偏差値も高い。
【3番のケツ】これは大臀(だいでん)筋のすごさをPRする早大OBのかけ声で「3番のケツっ」「ケツっ」の連呼に会場は爆笑。東大とは対照的に笑いをとりにきたか。これも校風だな。
【腹がカレーのルー】腹筋へのかけ声にはこんなものも。最近では「かけ声辞典」が出版され、テレビでも取り上げられるほどブームらしい。
 会場には東大応援部チアの姿があった。「デカい」「キレてる」と声援を送っていたが、ダンスを披露するわけでもなく気のせいか、つまらなそうではあった。
 そんな彼女たちと再び遇したのは翌年5月の神宮球場。東京六大学野球の法大戦だった。3回、東大の楠田創選手が自打球にのたうち回った。心配そうなスタンド。ここで沈黙を切り裂いたのはチアリーダーの絶叫だった。
【痛いの痛いの~とんでけ~】
 これを聞いて筆者は考え込んだ。自打球は骨折するほど痛いのだが、笑わせていいのか? もちろん痛みが消えるはずもなく楠田選手は相変わらずの悶絶状態。それでもそのチアガールは追い打ちをかけるように「痛いの痛いの~」を繰り返したのだ。ボディビルでは褒めたが、東大生の考えることは凡人のワシにはよう分からん。
 昨年はプロ野球も東京六大学も客席の声出しは禁止。学生ボディビルは大会自体が中止になった。何が起こるか分からない応援席。解禁になればわが目と耳で確かめに行かねば。それまではがまんであります。

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