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プロ 志望届 富山だけゼロ 有望株は県外高校へ

2020年12月31日 05時00分 (12月31日 11時23分更新)
富山県内の高校からはプロ志望者がいなかったが、県出身者では、星稜・内山壮真捕手(左)と享栄・上田洸太朗投手(右)がプロ入りした

富山県内の高校からはプロ志望者がいなかったが、県出身者では、星稜・内山壮真捕手(左)と享栄・上田洸太朗投手(右)がプロ入りした

  • 富山県内の高校からはプロ志望者がいなかったが、県出身者では、星稜・内山壮真捕手(左)と享栄・上田洸太朗投手(右)がプロ入りした

堅実な県民性影響?


 堅実か、消極的か−。プロ野球入りを志す高校三年生が日本高野連へ出す「プロ志望届」は今年、二〇〇四年の制度化以降、過去最多の提出者となった。富山県内の高校からは全国で唯一ゼロ。県内の指導者やプロ野球関係者は県民性を要因に挙げた。 (長森謙介)
 志望届は十月下旬までに前年比五割増の二百十五人の高校球児が出した。コロナ禍で練習、試合が中止となり、アピール不足の球児の救済を目的に八、九月に開かれた合同練習会の参加条件が志望届の提出だったためだ。野球関係者に実力を示し、自分の現在地を知る絶好の機会。だが、富山県勢は不参加だった。
 〇四年以降、県内の高校からの提出者は十六人。秋田、鳥取、佐賀、栃木に次いで少なく、志望ゼロの年は九回で秋田と並び、全国最多。県内高卒のプロ入りは一四年が最後だ。
 なぜ富山県内の高校球児にプロ志望者が少ないのか。星稜高(金沢市)出身で北陸を担当する中日の音重鎮(しげき)スカウト(57)は県勢の堅実さを指摘する。「富山は実力者でも、高卒即プロより進学や社会人を経由することを考える子が特に多い」。三年夏の大会前までに、進学を決めている場合が大半だという。今年も県内の有望選手は早々と進学を表明した。「今年は挑戦する球児がいてもよかったのに」と音さんは残念がる。
 まじめで勤勉と評価される富山の県民性だが、積極性に欠く部分があると感じる指導者もいる。一九七八年に石動高の監督として甲子園に出場した同県小矢部市の細川行雄さん(75)は「野球教室などで大阪や東京の子はわれ先に質問するのに富山の子は誰も手を挙げない」と嘆く。今夏の県独自大会で優勝した高岡第一の村本忠秀監督(56)も「何かをするとき、一度周りの顔色をうかがう。『自分がやってやる』という子は少ない」と同意する。
 ただ、実力が他県に劣るわけではない。今年ヤクルトにドラフト三位で指名された星稜高の内山壮真捕手(18)は上市町出身。中日育成二位指名を受けた愛知・享栄高の上田洸太朗投手(18)は高岡市出身。小中学時代からプロ入りが期待される有望株が、県外の強豪高へ進むことも、プロを志望する県内高校球児が少ない要因となっている。
 もちろん全ては個人の判断。プロの世界は厳しく、焦って高卒で入らず、大学や社会人として経験を積む道もあるが、富山発の高卒ルーキーの誕生に期待したいところだ。

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