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峰竜太さんが暴いた落合博満さんの弱点 純朴な少年を震え上がらせた神事の実態【増田護コラム】

2020年12月30日 11時56分

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訪れたなまはげをもてなす家の主人

訪れたなまはげをもてなす家の主人

  • 訪れたなまはげをもてなす家の主人
  • 落合監督(当時)(右)と対談した峰竜太さん=2008年
 いよいよ大みそか。秋田ではナマハゲが活躍する日である。中日ファンの峰竜太さんが落合博満監督(当時)を自宅に招待する形で実現した2008年の対談で、意外な事実が分かった。
 峰「監督、秋田でしたね。ナマハゲとか来るんでしょ」
 落合「来た、来た。オレ、隠れたもん」
 峰「ぼくもね、ナマハゲの村に生まれなくてよかったと思ったんですよ。怖いですよね」
 落合「あのナマハゲだけはねえ」
 取材した筆者は、思わず峰さんと顔を見合わせて笑った。「何だオメェってナマハゲに言ってそうだもんね」と峰さん。あの落合さんをそこまでビビらせたナマハゲとは? 後日、男鹿半島で体験してきた。地区によって作法は違うそうだが、神の使いとして山から下りてくる設定で、先立(さきだち)と呼ばれる世話人が2匹のナマハゲを連れ、こんな感じで進行する。
 先立「お晩です。ナマハゲ来たす」
 主人「寒びどご、よく来てけだすな」
 先立「山から来るには容易でねがったす」
 衣装のワラがすれ、四股を踏む音を聞いた瞬間に子どもは泣き叫び、隠れる。落合少年もそうだった。しかし抵抗もむなしく「うぉー。泣ぐ子はいねが。怠け者いねが」と家中を探し回るナマハゲに引っ張り出され、泣きながら主人(この場合は祖父)とナマハゲの問答を聞くことになる。
 主人「ナマハゲさん、まんず座って酒っこ飲んでくなんしぇ。うちの孫は本当にいい子です。ちゃんと勉強し、お手伝いもし、年寄りも大事にします」
 ナマハゲ(墨書された解読不明の古い紙束を取り出して激怒)「ウソこぐな。宿題もしねえでテレビゲームばっかりやっでる。ちゃんとここさ書いである」
 主人「ちゃんと言い聞かせますんで、ナマハゲさん、きょうは堪忍してください」
 ナマハゲ「隣の子があんまり言うごど聞がねえんで、山さ連れて帰ろうと相談しでる。子どら言うごど聞がねがったら、手っこ三つただげ、へば、いづでも山から下りて来るがらな」
 ひと仕事終えたナマハゲはやがて隣家に向かう。恐怖を味わった子どもたちはウソはばれることを知り、かばってくれた家族の信頼度は上がる。江戸時代には行われていたそうだが、実によくできた神事だ。で、冒頭の対談の続きである。
 峰「で、いつ、気づいたんですか、本物じゃないって」
 落合「そうだねえ。中学生ごろかなあ。青年部がやってるんじゃないかって」
 奔放な人生を送ってきた野球人は、信じられないほど純朴な少年だった。世の中、分からないものであります。

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