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4回転の壁を破り、新たな紀平梨花が生まれた 「応援してくれる人を笑顔に」全日本連覇の女王【フィギュア】

2020年12月28日 06時00分

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連覇を達成し、歓声に応える紀平梨花(代表撮影)

連覇を達成し、歓声に応える紀平梨花(代表撮影)

◇27日 フィギュアスケート全日本選手権最終日 女子フリー(長野市ビッグハット)
 女子フリーは、ショートプログラム(SP)首位の紀平梨花(18)=トヨタ自動車=が大技の4回転サルコーを初めて決めて、フリー1位の154・90点をマーク。合計を234・24点として、大会2連覇を達成した。全日本選手権で女子の選手が4回転ジャンプを成功させたのは、同じ会場の2003年大会で初優勝した安藤美姫以来、17年ぶり。日本スケート連盟の選考基準を満たした紀平は、来年3月に開催される予定の世界選手権(スウェーデン・ストックホルム)の代表を内定させた。
  ◇  ◇  ◇
 初めて4回転サルコーを成功させても、やってやったぞという感じはなかった。演技直後、紀平はうなずきながらはにかんだ。両手でつくったガッツポーズもどこか照れていた。
 「今回決めたいと思っていたサルコーを決められてうれしい気持ちと、コロナ禍の中でも応援してくださる声がたくさん届いて、その方々たちの笑顔が見たい思いが強かった」。さまざまな感謝の気持ちを込めようと素直に演じたことが、大技の成功につながった。
 4回転サルコーは冒頭に跳んだ。鮮やかに着氷して、GOE(出来栄え点)を3・19点加える美しさも兼ね備えていた。ただ、意外にも本人は冷静だった。「跳ばないと次へ進めない。跳ぶしかないという気持ちだった。跳んだ後も計画通りと落ち着いてできた」。続くトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は回転不足の判定を受けたが、他のジャンプは全てGOEで加点を受けた。
 新プログラムだったフリーで選んだ曲は「ベイビー ガッド・ブレス・ユー」。人気ピアニストの清塚信也がテレビドラマ「コウノドリ」に提供したオリジナル曲だ。ドラマでは産科医に迫り、出産や妊娠を通して命の貴さが描かれた。4回転の壁を突き破り、新たな紀平誕生をアピールするにはうってつけだった。
 紀平は大人の雰囲気を醸したSPとは異なり、淡い薄紫の衣装で、柔らかなピアノの旋律から生まれた音の命を育むように演じた。中盤からのステップやスピンは授かった命に感謝し育んで生きていく意思を示しているかのようだった。
 今季はスイスを拠点に練習を重ねた。芸術性の高い演技で知られる2006年トリノ冬季五輪銀メダリストのステファン・ランビエルコーチに師事し、新たな表現を学んだ。2年連続で全日本選手権を制した紀平には、成熟した気品が漂っていた。22年北京冬季五輪での金メダル獲得を狙う全日本女王には演者としての命もしっかりと宿っていた。

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