「政治離れ」 若者の本音は?

2020年12月27日 05時00分 (12月27日 13時13分更新)

ネットを中心に発信 大学生2人に聞く

 10代、20代の投票率の低さが目立つ日本。2016年には選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたが、依然若年層の政治離れが取りざたされている。でも「低投票率イコール政治関心度の低さ」と言えるの? 政治を身近に感じてもらおうとインターネットを中心に活動する2人の大学生に、若者の本音を聞いた。(西浦梓司、堀井聡子)

◆政治家娘YouTuberみこちゃんねる
▽近藤弥子さん
*あつれき恐れ話せない
*就活や受験 悩みとつなげて

 政治をテーマに動画を投稿しているユーチューバーは数多くいるが、政治家の家族として活動している人は珍しい。現職の国会議員を父親に持つ石川県中能登町出身の大学4年、近藤弥子(みこ)さん(23)=東京=は、自身のユーチューブチャンネル「みこちゃんねる」で、政治初心者に向けて動画を作成している。他のユーチューバーにはない独自の切り口が好評だ。
 自慢のバイタリティーや人脈を生かして作成した動画は、政治用語の解説や父親への密着取材、元総理大臣ら大物政治家へのインタビューなどさまざま。2018年2月から動画を公開し始め、その数は100を超えた。2万5000回以上再生された動画もあり、チャンネル登録者数は4400人以上いる。
 父の仕事柄、子どものころから政治は身近な存在だった。だが、学校で政治や選挙が話題に上ることはなく、違和感を感じていた。大学の友人に選挙の話題を振っても反応はいまいち。「同世代に関心を持ってもらいたい」。そんな思いから投稿を始めた。
 政治イベントやSNSなどを通じて、多くの若い世代と接してきた近藤さん。その経験から、若者は政治や社会に興味がないわけではないと断言する。「話題にしないのは、相手と考え方が違うことであつれきを生むのが怖いからでは」と分析している。
 若者の低投票率については「就活や受験の地方格差、ブラック校則など若者が抱えている悩みは本来、政治と直結しているはず。自分の事で精いっぱいになって、そのつながりに気づけない」と指摘する。
 動画を見た友人から「選挙に行こうかな」と声を掛けられることもあり、手応えを感じている。「困っているけど政治に興味が向いていない人の心にも響くよう、情報発信を続けたい」
◇【YouTube】「政治家娘YouTuberみこちゃんねる」はこちら

◆インスタで社会問題図解「NO YOUTH NO JAPAN」
▽代表 能條桃子さん(慶応大4年)
*関心はあるけど投票パス
*政局に偏らない投稿を意識

 「社会問題に関心はあるけど、『投票は知識がある人が行けばいい』と思っている」と若者の低投票率の背景を見るのは、一般社団法人「NO YOUTH NO JAPAN」(東京都)代表理事の慶応大4年能條(のうじょう)桃子さん(22)だ。学生や社会人ら約60人のメンバーとともに、写真共有アプリ「インスタグラム」で若者向けに政治や社会問題について発信している。
 周りの同世代は、環境問題や夫婦別姓、インターネットの誹謗(ひぼう)中傷などへの関心が高いという。だが政治の話は「意識高いね」と敬遠される。能條さんは「知識がないと政治の話をしてはいけないというプレッシャーがどの世代にもある」と指摘。政治への苦手意識につながっていそうだ。「特にSNSが身近な若い人は、常に誰かに見られている意識があって、政治について話しにくいんです」
 そこでインスタでは政治や社会問題を、周りの人と共有したくなるようなポップなデザインで分かりやすく図解している。フォロワーは5万2000人に達した。
 投稿は政局の話に偏らないよう意識。「若者にとって政治の話をする人は、政権批判など文句を言っている印象があり、かっこよく見えない」という。政党抜きに政策や社会問題を語ろうとしても、「与党支持ならこの問題にはこういう考えでしょ」とラベルが貼られる。「それでは楽しく会話できませんよね」
 自分が興味ある社会問題について活動している人をSNSでフォローしたり、投稿に「いいね」を押すことも政治参加の一つと考える。でもやっぱり、同世代に投票に行ってほしい。「投票する若者が増えれば、自分たちが関心ある問題について政治決定するスピードが上がる。私たちが声を上げなければ」

☆投票率「低⤵」 ≠ 関心「小」?
勇気の一票 踏み出して

 総務省のまとめによると、一九九〇〜二〇一七年の衆議院議員選挙では、年代が低くなるほど投票率も下がっている。選挙権年齢の引き下げ後に行われた一七年の衆院選では、十代は40・49%、二十代は33・85%と、平均の53・68%よりかなり低い。
 ただ、投票率の低さが必ずしも、政治への無関心を表しているわけではなさそうだ。経済協力開発機構(OECD)が一九年に発表した統計によると、日本で「政治に全く興味がない」と考える十五〜二十九歳の割合は、11%。OECD加盟国の平均である24%を大きく下回り、調査した三十八カ国中、六番目に少なかった。
 政治のことが気になってはいるが、投票という政治参加の一歩を踏み出せていないとみられる。

~しんじの心情(しんじょう)~

 政治の諸問題について、高校生に取材することがよくあります。興味がないだろうなと思って尋ねると、多くの生徒はインターネットで情報を集めており、驚くほど自分の意見を持っていました。自分の学生時代と比べると、恥ずかしいくらい。
 近藤さんは、学校現場で政治の話がタブー視されていることも問題に挙げていました。主権者教育が盛んなスウェーデンでは、政治家が来校して生徒と議論することもあるそう。政治的中立を保つことは大切ですが、日本の学校でも一歩踏み込んで話してみてもいいのかも。(西浦梓司)

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