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干し芋 努力と甘み凝縮 栽培難しい「兼六」など5種を完成

2020年12月25日 05時00分 (12月25日 10時02分更新)
試行錯誤して完成した干し芋を手にする砂上知輝さん=白山市七郎町で

試行錯誤して完成した干し芋を手にする砂上知輝さん=白山市七郎町で

◇白山・安井ファームの砂上さん

 米やブロッコリーを生産する白山市七郎町の農業法人「安井ファーム」の若手社員、砂上知輝さん(23)=加賀市=が、2年前の入社時から試行錯誤を繰り返した干し芋作りに成功した。栽培が難しいとされる県産サツマイモ「兼六」など5品種で展開。砂上さんは「努力が形になるまで続けてよかった」と喜びをかみしめている。 (都沙羅)
 最も緊張する瞬間は、干し終えたイモを並べた板状の容器「すだれ」を外す時。イモの表面にすだれの編み目の跡が食い込んでいると、甘みを確信し、心の中でガッツポーズ。乾燥中に、でんぷんが糖に変わり、肉質がねっとりとしたことを証明しているからだ。「この編み目を見るのが達成感」
 入社した二〇一八年春、安井善成社長から「仕事で何に挑戦したいのか」と問われたことが、きっかけ。水戸市の農業専門学校で干し芋の加工に熱中したことを思い出し、取り組むことに。
 同年秋、さっそく市内の畑の一画で約五十キロの紅はるかを収穫。学校で習ったように蒸して、自宅の庭で天日干し。その後、家の中で扇風機の風を三日間当てた。試作品として社員に食べてもらったが、「甘さも見た目もいまいち。何より乾ききっていない」と厳しい評価だった。
 翌年は十倍収穫し、会社の乾燥棚で扇風機と除湿器を併用した。しかし、今度はイモの量に対して乾燥スピードが追いつかず、多くを廃棄した。
 ブロッコリーの生産が主たる業務の中合間を見て苗の管理や専門書を勉強。断念しかけたが、成果を上げると宣言した以上後戻りできない。今年、四倍の量のイモが入るタマネギの乾燥機を借りて温風を当て、素早く乾かすことに成功した。
 兼六は、戦後に生産が一時途絶え、「幻のサツマイモ」とされる品種。かほく市の砂地で約百二十キロを収穫。皮のむきにくさに苦戦したが、鮮やかなオレンジ色の干し芋になった。定番の「紅はるか」や「安納芋」も収穫し、甘みたっぷりで食べ応えのある計五品種をそろえた。
 砂上さんは「仲間がおいしそうに食べていて、思わずうれしくなった。近所の人にも食べてほしい」と話している。
 今月から、安井ファームに隣接する直売所「花蕾屋(からいや)」で毎週木、金、土曜日に販売も始めた。百五十グラムで三百円(税込み)。

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