コロナ禍での卒業アルバム制作 行事縮小…知恵を絞る

2020年12月24日 05時00分 (12月24日 05時02分更新)
卒業アルバムに載せる作文を入力したりイラストを描いたりする児童=名古屋市中区の栄小学校で

卒業アルバムに載せる作文を入力したりイラストを描いたりする児童=名古屋市中区の栄小学校で

  • 卒業アルバムに載せる作文を入力したりイラストを描いたりする児童=名古屋市中区の栄小学校で
  • 予約制の5分刻みで個人写真の撮影に臨む学生(右)=名古屋市昭和区の南山大で
 新型コロナウイルスの影響で学校行事や部活動の大会が中止・縮小される中、小学校から大学までの各校が卒業アルバムの制作に知恵を絞っている。感染防止に配慮した新しい行事を設けたり、卒業式当日の写真も載せるためにアルバムの完成時期を遅らせたり。写真業者も「マスクを一瞬だけ外した笑顔」の撮影に奮闘する。 (白井春菜)
 十二月中旬、名古屋市中区の栄小学校。六年の全二十九人がアルバムに載せる文集の制作を進めた。手書きの作文をパソコンで清書したり、図鑑を見て動物のイラストを描いたり。来年三月の卒業式直前に配られる予定で、岡野乃愛(のあ)さん(11)は「六年間同じクラスで過ごしてきた同級生と寄せ書きをしたい」と完成を心待ちにする。
 本年度はコロナ禍で運動会を縮小し、クラブ活動は中止。例年は卒業生の五、六年時の写真をアルバムに収めるが、四年時の写真も載せて内容の充実を図る。「コロナで残念な年」とならないよう新しい屋外行事も発案。校庭の真ん中に立つイチョウの大木の収穫祭を十一月に開いた。ギンナンを配る袋にイラストが採用された斎藤来羽(こはね)さん(11)は「栄小の新しい“伝統行事”。写真をアルバムで見るのが楽しみ」と期待を膨らませる。
 アルバムの完成時期を変えた学校もある。同市東区の山吹小は例年、卒業式前日に担任から手渡すが、本年度は卒業式当日の写真も収録する。卒業生が手にするのは来年五月になるが、式の晴れ姿を残せる利点がある。
 一方、福井県おおい町の本郷小はコロナを契機に初めてアルバムを作る。大阪市の制作会社「夢ふぉと」の全国プロジェクトに選ばれた。同社が無償でカメラを提供し、アルバムを制作する。十二月下旬には卒業生や教員が個人写真やスナップ写真を撮り合った。山内智永(ともなが)教諭(48)は「コロナで行事や部活動の大会がなくなった。逆に『今年はある』というものが作りたくてそれがアルバム」と話す。
 アルバム制作を請け負う写真業者も試行錯誤している。岐阜市の写真館「清水スタジオ」の清水茂雄さん(57)は「今はマスクが日常とはいえ表情が見えづらい。可能な場合は生徒に一瞬だけマスクを外してもらい、おしゃべりをしないよう呼び掛けて短時間で撮影した」と気を使う。
 春の休校で延期になった運動会が秋の修学旅行の時期と重なり、九〜十一月は連日、市内の小中学校や高校、県外の修学旅行先へ。清水さんは「体力勝負だった」と笑う。「子どもたちは学校行事ができる喜びにあふれていた。いろいろな制約があったが良いアルバムを作り、見返してほしい」と作業を進める。

密を回避、予約制で写す 「在学の証し発行したい」

 名古屋市昭和区の南山大は本年度、卒業アルバムの個人・集合写真の撮影を電子メールによる予約制にした。撮影を希望する卒業生は千数百人。秋から来年三月にかけて撮影日を例年より増やし、五分刻みの枠で一日約八十人に絞った。例年は多い日で一日二百人が訪れ、制作委員の学生が数人で行列の整理をしていた。
 十二月上旬の撮影日には学内の特設会場に次々と学生が訪れた。消毒、検温、換気を徹底。制作を請け負う「スクールフォト」(同市瑞穂区)のカメラマンがてきぱきと撮影。四年谷さくら子さん(22)は「卒業式がない可能性もある。ガウンを着られて記念になる」と笑顔で納まった。
 制作委員長の四年須崎大致(だいち)さん(24)は「例年写真を載せていた学園祭や部活動の大会などが中止に。でも卒業アルバムは大学にいた証し。なくなるのは寂しい。どんな形でも発行したい」と意気込む。
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