本文へ移動

木下拓、やっと生まれた正捕手候補…長年の課題に光明【ドラゴンズ総括】

2020年12月19日 06時00分

このエントリーをはてなブックマークに追加
自己最多88試合に出場し、正捕手へと近づいた木下拓

自己最多88試合に出場し、正捕手へと近づいた木下拓

 0―5で敗れた、7月3日の巨人戦(東京ドーム)はチームとして後々、意義ある戦いとなった。一つは今季3戦目で7イニング2失点と好投したエース・大野雄の投球。それまでの2試合は10イニングで自責10だった、この日は一変していた。最速152キロのフォーシーム、シュート回転して落ちていくツーシーム、スライダーをストライクゾーンに投げ込んで、バッターを追い込んでいく。坂本にはソロ本塁打を被弾したが、10三振を奪って復調を見せつけた。このピッチングを引き出したのが木下拓だった。
 開幕から2試合、大野雄は自ら指名して強肩の加藤匠とバッテリーを組んでいた。リードに課題はあるが、走られる心配がないことを優先した。だが、結果は悲惨なものだった。そこで3戦目にチャンスが巡ってきたのが木下拓。この試合をきっかけに、シーズン最後までエースのボールを受け続けた。
 今季のスタート時、首脳陣が正捕手候補と考えていたのは昨季92試合に出場した加藤匠だった。オープン戦初戦の2月22日の阪神戦(北谷)で加藤匠はスタメン出場を果たしたが、打っては投ゴロ併殺打と見逃し三振。守りでも序盤に3本塁打などで6失点。7回まで出場する予定が5回終了時で交代し、そのまま2軍に落ちた。
 「オープン戦の初戦にスタメンで起用した意図をまったくわかっていなかった。失敗はいい。でもやり返すという覇気をリードでも打撃でも感じられなかった。あの試合で加藤は、今年は厳しいなという判断をした」と伊東ヘッド。木下拓が試合に出られたのも「一番の理由は加藤が伸び悩んだということ。結果的に木下に出番が来た」と言う。
 木下拓は結果を出すたびに、首脳陣や周囲の信頼感も増していき、出場機会も増え、9月上旬からレギュラーといえる存在に。プロ5年目で自己最多の88試合に出場し、盗塁阻止率は12球団で断トツの4割5分5厘という成績を残した。正捕手確立というチームの長年の課題にも光が差した。
 「もともとスローイングは良かった。上手だったキャッチングは、試合に出るうちにさらにうまくなっていった。性格が優し過ぎて、厳しいところを攻められないという点はあったが、それも克服していった。攻めるところは攻めるようになり、投手の一番いいボールを引き出すことも試合の中で覚えていった」。木下拓の成長について、シーズン終了後、伊東ヘッドはこう振り返った。そして打つ方でもまた、スタメン定着を後押ししていった。
 2割6分7厘という打率以上に、いいところでよく打った。9―7で勝った10月3日のDeNA戦(横浜)は5打点。1回に2点適時打、2回に3点本塁打を放った。10月23日のヤクルト戦(神宮)でも1点を追う6回に逆転の適時二塁打。打順が下位の捕手が打つことで、打線もさらにつながる。8月までが3・32だった1試合平均得点は、9月以降は3・86。もちろん一人の活躍でないが、数字の向上には貢献している。チームも8月までは27勝32敗4分けの借金5で、9月以降は33勝23敗1分けの貯金10。チームが躍進する中で木下拓も中心にいた。ヒーローインタビューでたびたび口にする「幸運の拾い物」話でもファンを沸かせ、その存在感は日に日に増していった。
 課題はシーズンを戦い抜く体力。「今の感じだったら出られても80試合ぐらい。100試合は出られる体力をつけて、レギュラーをつかんだら一人でまかなってほしい。捕手は精神面の疲れも大きいが、ずっと試合に出るようになれば、やられても次の日は切り替えてやるという強さは身に付いてくる」と伊東ヘッド。来季は今季以上にマークが厳しくなる。チーム内でもA・マルティネス、郡司、石橋といったライバルがスタメンを虎視眈々(たんたん)と狙ってくるはず。加藤匠も黙っていないだろう。今季の経験を糧に、すべてにおいてレベルアップすることが、長年の課題解消に終止符を打つことにつながる。
おすすめ情報

購読試読のご案内

プロ野球はもとより、メジャーリーグ、サッカー、格闘技のほかF1をはじめとするモータースポーツ情報がとくに充実。
芸能情報や社会面ニュースにも定評あり。

中スポ
東京中日スポーツ