本文へ移動

リニア工事 法廷に問う(2) 原告団共同代表・大石和央さん

2020年12月17日 05時00分 (12月22日 17時20分更新)
無農薬で作るオリーブと茶畑の前で、農業用の水の大切さを話す大石和央さん=牧之原市で

無農薬で作るオリーブと茶畑の前で、農業用の水の大切さを話す大石和央さん=牧之原市で

 原告団共同代表の一人、大石和央さん(65)=牧之原市=は、静岡空港から南に六キロほど離れた一・三ヘクタールの農地で、茶やオリーブなどを栽培する。兼業農家だった祖父、父の後を継いで、三十五年前に脱サラして農家になった。
 農業用水はすべて大井川に頼っている。夏には取水制限をすることもあるが、「土地改良区が困らないように水量を守ってくれている。これまで水に困ったことはない」。JR東海の試算では、何も対策をしなければ、工事の影響で最大毎秒二トンの流量が失われる可能性がある。「自由に使っていた水が制限されるかもしれない懸念は大きい」と不安を語る。
 リニアの情報は報道でしか得られていない。住民としてJRから直接、説明を受けたこともない。「二トンというのは科学的根拠があるのか。三トンになるかもしれない。うのみにはできない」とも指摘する。
 空港が着工した二十年ほど前、稲作のために飼っていたアイガモがカラスに襲われた。大石さんは工事の影響でカラスが本来の生息地を追われアイガモを襲ったとみている。「いかに自然が正直かと実感した」。それから旧榛原町議、牧之原市議として計六期、環境問題に取り組んできた。
 原告団への参加を求められたのは今夏。浜岡原発の廃炉を求める訴訟に参加した経験から時間的、経済的な負担に一時は躊躇(ちゅうちょ)した。
 それでも「住民が声を上げないと関心は世に広まらない。私がやらなきゃ、という使命感が心の片隅にあった」。雄大な南アルプスと大井川の清流を守りたい。その思いを胸に法廷に立つ。 (広田和也)

関連キーワード

PR情報