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リニアのトンネル問題(中)消えたワサビ田 五十幡将之(静岡総局)

2020年12月13日 05時00分 (12月13日 05時01分更新)
沢水が枯れて荒れ果てたかつてのワサビ田=静岡県内で

沢水が枯れて荒れ果てたかつてのワサビ田=静岡県内で

 静岡には、トンネル工事で人々が水の恵みとともに日常の暮らしを奪われた苦い過去がある。およそ百年前の出来事だった。
 「おかしい、水が減っている」
 村人が沢水の減少に気づいたのは関東大震災の翌年。一九二四年も暮れのことだった。年明け後も水はじりじりと減り、沢も次々と枯れ、全国に名をはせた風光明媚(めいび)なワサビ田も消失。ついには生活の糧となる田植えもできず、その日の飲み水すら無くなった。
 村人たちが恐怖に包まれていったとき、ある情報が村に飛び込んできた。
 「村の直下を通るトンネル工事で大量の湧水が出ているらしい」
 後に「芦ノ湖三杯分の地下水が抜けた」と言われる丹那トンネル(静岡県熱海市、函南(かんなみ)町)の掘削工事。それがすべての始まりだった。

100年前の教訓は今も

 トンネルは明治時代末期、箱根越えを避けるため御殿場を迂回(うかい)していた東海道鉄道(現東海道線)を直線的に結ぼうと、伊豆半島の付け根を深さ最大五百二十メートル、東西全長七・八キロを貫くルートとして計画された。
 水が枯れた函南村(現・函南町)の「丹那盆地」は、ルート上に位置する直径約一キロ、標高二百三十メートルの平地。周...

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