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電話相談 石川県外業者に委託 「コロナ発熱者」

2020年12月11日 05時00分 (12月11日 10時10分更新)

県、感染情報を伝えず

 新型コロナウイルス感染症への不安を抱える人らの電話相談として開設された「石川県発熱患者等受診相談センター」の業務について、県が県外の民間業者に委託しながら、感染状況などの情報を伝えていないことが分かった。日々変わる感染状況や地域名などを業者側が独自に把握していなければ、適切な対応が取られるのか、専門家からも懸念の声が上がる。県内ではコロナ感染が死後確認された金沢市の男性が十一月下旬に同センターに電話してPCR検査を希望したが、受けられなかったことが分かったばかりだ。(押川恵理子、辻渕智之)

「独自に収集するはず」

 委託先は医療健康関連事業会社の東京海上日動火災メディカルサービス(本社・東京)。県の説明では看護師や保健師が電話相談に対応し、助言役の医師も常駐している。
 県によると、この業者には小児救急電話相談事業も委託している。健康推進課の担当者は本紙取材に「(感染状況などを業者側に)こちらから随時伝えなくても向こうはプロ。県のウェブサイトなどで自ら情報収集するし、しっかり対応できると考えている」と答えた。ただ、県は業務先の所在地や勤務態勢についても把握していない。「しっかり業務していただければあえて確認、把握する必要はない」と話した。
 センターは、インフルエンザとの同時流行に備え、十月末に開設。原則、土日や夜間、受診先を迷う場合に電話するよう県は求めている。
 従来、県民からの同様の電話相談は県内六カ所の保健所などに設けた「帰国者・接触者相談センター」で保健師らが受け、医療機関を紹介していた。
 谷本正憲知事は十日の県議会で佐藤正幸氏(共産)の一般質問に、民間委託の理由について「(県内の)保健師の業務があまりにも過重。濃厚接触者の特定など感染拡大を防ぐ仕事がおろそかになりかねない」と説明。「委託で弊害が起きたとは担当部署から聞いていない」と強調した。
 県によると、委託費は本年度末(来年三月)までで七千万円。相談は今月六日までに二千百五十六件あり、本人からが約七割、家族からが約二割だった。かかりつけ医など身近な医療機関の受診を勧めた対応が約六割で、検査できる先を紹介したケースは約二割。濃厚接触者ら緊急性を判断し、保健所につないだケースも約二割あった。

住民に顔見える対応が必要

 NPO法人医療ガバナンス研究所(東京)理事長の上(かみ)昌広医師の話 東京、大阪でコロナ対応が十分機能しないのは住民に寄り添うきめ細かいサービスができていないから。大学、医師らと地域で連携し、住民に対して顔の見える距離で個別、具体的に対応するのが県や保健所の本来の仕事。刻々変化する地元の肝心な情報や状況が外部の業者との間で共有されていないならば懸念される。

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