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シイタケ栽培 農福連携 富山「めひの野園」

2020年12月11日 05時00分 (12月11日 10時27分更新)
<1>まずはシイタケ栽培ブロックの成型作業。おがくずに米ぬかなどを混ぜて固める=富山市西金屋の作業センターふじなみで

<1>まずはシイタケ栽培ブロックの成型作業。おがくずに米ぬかなどを混ぜて固める=富山市西金屋の作業センターふじなみで

  • <1>まずはシイタケ栽培ブロックの成型作業。おがくずに米ぬかなどを混ぜて固める=富山市西金屋の作業センターふじなみで
  • <2>たくさんのシイタケが実ったブロックがずらり並ぶ栽培ハウスで出荷に向けた準備が進む=富山市西金屋の作業センターふじなみで
  • <3>出荷用の作業室に置かれたブロック。右の袋詰めされたものが1個1000円で販売される=富山市西金屋の作業センターふじなみで

家庭用ブロック コロナで人気爆発

 富山市西金屋の社会福祉法人「めひの野園」が十五年前に開設したシイタケ栽培の多機能型事業所「作業センターふじなみ」が、コロナ禍がもたらす現象を機に改めて注目されている。シイタケ出荷とともに扱っていた、誰でも簡単に収穫できる栽培ブロックが巣ごもり需要で爆発的人気に。生産の現場を訪ねると、担当者が「農福連携に最適の作物」と胸を張って案内してくれた。(中島健二)
 呉羽丘陵の斜面に立つセンターはまるで工場のように見える。自閉症や発達障害がある施設利用者たちがそこで取り組むのがシイタケの一貫生産。朝から慌ただしく作業が始まる。
 まずは菌床づくり。群馬県の業者から取り寄せるおがくずなどの原料を機械で固めてブロックにする。職員とともに利用者たちが決まった量を確実に仕上げて高温殺菌。これに無菌室でシイタケ菌を打ち込み、培養室に三カ月間並べて菌糸をはびこらせれば「栽培ブロック」のできあがりだ。
 ブロックは、センター周辺に十四棟あるハウスに移してシイタケを収穫、市場に出荷する一方、半分ほどは菌床のまま袋詰めして全国の農家向けに出荷している。これを八月から一般向けに販売したら、簡単な世話で収穫できるため大人気に。一個千円で販売され、多い時で一日に三十〜四十個は売れる日もある。
 「障害がある人にはそれぞれ得意な作業がある」とセンター生産課主幹の室賢一さん(47)。現在、同園利用者約二百人のうち五十人余がセンターで従事するが丁寧にこなす作業が得意な人が多く、働く意欲がかき立てられるという。
 特にシイタケは季節が限られる野菜の露地栽培と違って通年収穫できる。室さんは「障害がある利用者が一年中、安定して仕事ができる。情緒の安定や暮らしの安定につながる効果がある」と指摘する。同園はこの効果に着目し、北海道でシイタケ栽培を実践していた福祉事業所に室さんを三カ月派遣し研修させた上で、センターを開設した。
 シイタケは「定番作物のため市場ではいくらでも売ってもらえる」と室さん。しかも大手が市場を席巻するエリンギやマイタケと異なり「人の手をかけねばならず大量生産できないので競合大手がいない。ここのような事業所には大きなメリット」と評価する。
 政府は二〇一五年に農福連携を提唱したがずっと前から連携を実践してきた。「作物を育てることで、支えられる立場だった障害のある人が、自分が支えないと作物が育たない体験をする。意識が変わる」(室さん)から。中でもシイタケは通年安定作業ができる。
 「農業の後継者がいなくても、障害者が働ける。富山型のシイタケ栽培モデルとして広げたい」。室さんはこれを目指している。
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 この記事は十日夕に放送した富山テレビ放送「中島流!深掘りTOYAMA」との連動企画です。中島流の次回は十六日のライブBBT午後六時台に放送します。(放送日は変更になることもあります)
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