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開業遅れ 半年短縮し1年 国交省 建設費は222億円圧縮 

2020年12月10日 05時00分 (12月10日 09時38分更新)

 二〇二三年春の開業が遅れ、建設費が増えるとの見通しが示されていた北陸新幹線金沢−敦賀間について、国土交通省は九日、有識者委員会の中間報告案を踏まえ、遅延幅を半年短縮し一年程度にできる見込みと明らかにした。建設費は工期短縮策の一部取りやめなどで二百二十二億円圧縮し、最終的に二千六百五十八億円膨らむとした。ともに天候や地質不良などのリスク要因が想定の範囲内に収まることが前提としている。(山本洋児)
 東京・永田町で与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)の会合があり、報告した。会合は冒頭を除き非公開。終了後、細田博之座長は「本日は取り急ぎ報告を受けた。詳しくはあす討論を行う」と述べた。与党PTは十日に再び会合を開き、報告案の内容を議論する。
 有識者委は工期短縮策について、一年半程度の遅れが示されていた敦賀駅工区を中心に検討した。具体的には技術力のある作業員確保による土木工事の短縮で二カ月、クレーン増加による建築工事の短縮で一カ月、監査・検査などの効率化で三カ月の計六カ月の短縮が可能と見込んだ。
 地盤が膨張してひび割れする「盤膨れ」が一キロの範囲で見つかった加賀トンネル(五・五キロ)は、十カ月以上遅れる恐れがある。ただ盤膨れは自然現象である上、敦賀駅の遅延の範囲内に収まる限りは工期短縮策を講じる必要性がないとし、短縮策の検討対象から外した。
建設費は二千八百八十億円から大幅な減額が見込めなかった。開業一年遅れを受け、一部で工期短縮を見直すなど二百二十二億円減にとどまった。整備新幹線の建設費は、JRが国に支払う施設使用料(貸付料)を除いた額を、国と沿線自治体が二対一で負担する。上振れ分が二千六百五十八億円に固まり、今後は財源確保と地方負担の在り方が焦点になる。
 金沢−敦賀間の建設費は、人件費や資材の高騰などで一八年に二千二百六十三億円の増加が判明し、総事業費は一兆四千百二十一億円となった。今回の増加を含めると、総額は一兆六千七百七十九億円に膨らむ見通し。
 国交省は十一月、与党PT会合で開業の一年半遅れと建設費二千八百八十億円増の見通しを報告したが、与党側は了承しなかった。国交省は有識者でつくる検証委員会を立ち上げ、十一月中旬から工期短縮や建設費縮減策を検討。九日の第五回会合で中間報告案をまとめた。検証委は工事遅延やコスト増の原因究明、再発防止策も検討し、来夏に最終報告書をまとめる。

 敷かれたレール決着へ

解説
 北陸新幹線金沢−敦賀間の開業遅れは、半年縮まり一年で決着する見通しとなった。建設費は二百二十二億円縮減されたが、増額幅は二千六百五十八億円と巨額だ。有識者委員会の議論開始からわずか一カ月、レールは敷かれていたように映る。
 前回の与党PT会合で、沿線国会議員は国の報告に反発し、了承しなかった。自民党整備新幹線等鉄道調査会長の稲田朋美衆院議員は「納得できない」、党PT座長の高木毅衆院議員も「到底許せない」と突き放した。
 この一カ月間は、政治家のメンツを保つため「落としどころを探る」期間だったと言える。新幹線開業は、JRのダイヤ改正に合わせて春になるケースが多い。沿線関係者は、まちづくりなどを念頭に「一年遅れが限界」と吐露。大半は着地点を一年遅れとみていた。
 工期は人員と資機材の増加、監査・検査の効率化で短縮を図った。建設費は開業一年遅れで工期に余裕が生まれたため、短縮策の一部取りやめなどで減額につなげた。しかし、ともに天候や地質不良などのリスク要因が想定の範囲内であるという条件が付く。
 有識者委は事実関係の検証で、情報伝達や監督態勢の課題を列挙した。国は国家プロジェクトとしての自覚を改めて持つ必要がある。開業遅れと建設費増の事実は消えない。未着工の敦賀以西を含め、新幹線には一層厳しい目が向けられる。(山本洋児)

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