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促進同盟会長 3県の思惑 福井 切り込み隊長 富山 役割果たした 石川 結束を訴える

2020年12月8日 05時00分 (12月8日 09時40分更新)
政府・与党への要望活動で、初めて顔をそろえた北陸3県の知事。左から新田八朗・富山県知事と谷本正憲・石川県知事、杉本達治知事=11月20日、衆議院会館で

政府・与党への要望活動で、初めて顔をそろえた北陸3県の知事。左から新田八朗・富山県知事と谷本正憲・石川県知事、杉本達治知事=11月20日、衆議院会館で


 北陸新幹線の金沢−敦賀開業が一年半遅れ、建設費も膨らむことに対応が迫られる中、国などへの要望活動を長く展開してきた北陸新幹線建設促進同盟会の会長職の行方にも注目が集まっている。半世紀にわたり富山県知事の指定席だが、十一月に就任した新田八朗知事は、福井県以西の知事がふさわしいとして譲る考えを明らかにし、福井県の杉本達治知事は就任に慎重な姿勢をみせる。住民になじみの薄い会長職を巡る三県トップの思惑は?(押川恵理子、酒井翔平、尾嶋隆宏)
 富山の新田知事は、前知事の石井隆一さんから会長任期を引き継いだ来年八月までは会長を務めるが、来期は「今後、相談したい」として交代の意向を示している。
 中堅の富山県議は「まだ就任したてで、県政運営に集中したいのだろう。現状の課題で頭がいっぱいで、北陸新幹線の問題まで抱えている余裕がないんじゃないか」とみる。富山県幹部は「金沢開業で富山の役割は一定程度果たした。そもそも交代は石井前知事も言っていた」とし「歴代の知事は官僚出身だから中央にパイプがあったけど(民間企業出身の)新田さんにはほとんどないから」と発言の真意をくみ取る。
 杉本知事は二日の県議会で「新田知事に続投してもらえることを期待している」と答弁。自身は「京都、大阪につなぐ切り込み隊長」の立場を担う姿勢を見せる。県幹部は「会長県になると東京での要望活動や大会の準備、国会議員との連絡調整など大きな事務負担が生じる。正直大変だと思う」と明かす。
 石川の谷本正憲知事は三日、記者団に「会長職は富山県の指定席。事務局にも十分にノウハウが蓄積されている」と指摘。北陸新幹線が完成した関東や信越地方の県が同盟会の要望活動に積極的に参加していない現状に触れて「北陸三県は大阪開業を見届けるまでは絶対にそんなことはあってはならない」と説く。
 会長職を譲るという新田知事の意向には、石川県側は「富山県内は全線開業しているし、遠慮されたのでしょう」と口をそろえる。県幹部は「経験なら富山、福井以西なら福井」と話す。知事に近いベテラン県議は「三県知事が話し合い、もう新田知事がやることで話はついているでしょう。福井県は自分の所が大変なんだから、全体のまとめ役までは難しい」とみる。
 谷本知事は「会長職をどうするかと議論すること自体が世の中の批判を受けることになる。不見識」とも述べ、北陸三県が結束し、現在の難局に立ち向かう必要性を訴えている。

 北陸新幹線建設促進同盟会 1967年に「北回り新幹線建設促進同盟会」として発足。全国新幹線鉄道整備法により基本計画が決まった72年に現在の名称となった。東京都から大阪府まで沿線の10都府県で構成し、政府や与党に建設促進を働き掛けてきた。会長職の任期は1年で、毎年8月の総会で改選。67年の発足以来、当時の吉田実氏や「ミスター新幹線」と呼ばれた中沖豊氏ら歴代の富山県知事が会長職を務めてきた。北陸新幹線建設の構想は、65年に金沢市内であった政府主催の公聴会で、当時、砺波商工会議所会頭だった岩川毅氏(中越パルプ工業創業者)が佐藤栄作首相に建設を提案し、首相が「研究に値するもので検討したい」と応じたのが始まりとされている。これが契機となり、富山県が会の発足当初から会長職を担ってきたとみられている。


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