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リニアのトンネル問題(上)着工を拒む訳 五十幡将之(静岡総局)

2020年12月6日 05時00分 (12月6日 05時00分更新)
リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事について会談する川勝平太・静岡県知事(左)とJR東海の金子慎社長(代表撮影)

リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事について会談する川勝平太・静岡県知事(左)とJR東海の金子慎社長(代表撮影)

 「今ある水を今後も守りたいというだけなのに」
 静岡県島田市の染谷絹代市長はそう話す。リニア中央新幹線の南アルプストンネル静岡工区(静岡市葵区)着工の許可を巡ってJR東海が対立している静岡県の立場をその言葉が象徴する。県民にとって命に関わる切実な問題が、県外の人に理解されないもどかしさを感じるのは、地元で取材する私も同じだ。「水が枯れる」という静岡県民の苦い体験を知ってもらえば印象は変わるはずだ。
 その一つが、古来「越すに越されぬ」とうたわれた大井川の「水返せ運動」だ。浮世絵でも大河のごとく描かれていた大井川は、今や広い河原の低地を細々と流れる程度の川に成り下がった。新幹線で通過するとき「えっ、大井川ってこんなもん?」と拍子抜けした記憶があるが、そうなった経緯は静岡に着任するまで知らなかった。

ダムで川は河原砂漠

 水量が豊富な大井川では、明治時代から国策として首都圏の発展に必要な電力供給源としてダム開発が進んだ。水はダムからダムへと山中の導水管を流れ、川は河原砂漠に。開発に携わった元東邦電力社長の松永安左エ門(一八七五〜一九七一年)は「このように一つの河の水が最下流から源流まで吞(の)み...

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