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20世紀西洋美術一堂に 富山、横浜、名古屋の公立美術館所蔵品が競演

2020年12月5日 05時00分 (12月5日 11時04分更新)
3館が所蔵するウォーホルの作品が並んだ会場=横浜市西区の横浜美術館で

3館が所蔵するウォーホルの作品が並んだ会場=横浜市西区の横浜美術館で

連携企画展 横浜から巡回

 国内三つの公立美術館の所蔵品から二十世紀西洋美術の足跡をたどる展覧会「トライアローグ」が、横浜美術館(横浜市西区)で開かれている。同館と愛知県美術館(名古屋市)、富山県美術館(富山市)の合わせて約百二十点が競演。新型コロナの影響で海外からの大型展開催が難しくなる中、国内にある名品を生かそうと手を取り合った。(宮崎正嗣)
 「トライアローグ」は三者による議論「鼎談(ていだん)」を意味する英語。三館は地方公立美術館の建設が進んだ一九八〇年代前後に相次いでオープン。いずれも近代の西洋美術作品を収集の柱としてきた。
 展覧会は一九〇〇年代から九〇年代まで、約三十年代ずつ三つの章に分けて展示。ピカソを起点にキュービズム、ドイツ表現主義などをへて、シュールレアリスム、戦後の抽象表現主義など、近現代美術の潮流をなしてきた動向に焦点を当てる。横浜美術館の蔵屋美香館長(54)は「三館が補い合うことで、欧米の美術館と比べても全く遜色のないコレクションが出来上がった」と胸を張る。
 三館が共通して所蔵する九人の作品については、それぞれ作風を比較できるように同じ展示室で並べた。米国ポップアートの巨匠ウォーホルの作品は三組。有名な版画「マリリン」(富山県美蔵)をどこかで見たことがある、という人も多いはず。それぞれ九十センチ四方ある肖像が十点並ぶ様子は壮観だ。横には横浜と愛知がそれぞれ所蔵するウォーホル作品も並び、サイズの違いが際立つ。ピカソ作品は、時代が下るにつれ、より抽象的に作風が変わる様子が見てとれる。
 一堂に並べることで、三館が重点的に収集してきた作品や、コレクションの個性の違いも現れる。ドイツ表現主義、シュールレアリスムの分野ではそれぞれ愛知、横浜の作品が充実。六〇年代以降はドイツを代表する画家リヒターの「オランジェリー」をはじめ、富山の作品が目立つ。

コロナ禍 大型展困難で新形式

 一方で八〇、九〇年代の展示作品が少ないなど、共通する課題も浮かび上がった。横浜美術館の松永真太郎学芸員(47)は「三館が開館した八〇年代以降、同時代の作品の収集が滞っている実態が分かる。各館がコレクションのあり方を考える契機になったのではないか」と振り返る。
 国内の美術館の多くはこれまで、海外で所蔵されている名品を軸にした大型展を集客の柱としてきた。コロナ禍でそうした企画が難しくなる中、今展はモデルケースにもなりそうで、愛知県美の副田(そえだ)一穂学芸員(38)は「それぞれのリソースを活用した連携が今後広がっていくきっかけになればいい」と語る。
 横浜での展覧会は来年二月末まで。来年度に愛知、富山の順に巡回する。

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